2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60361284)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 書字支援 / 幼小連携 |
Research Abstract |
幼児に対する効果的な書字支援を行うためには、発達に応じた対応が必要である。集団での支援が可能になるのは、年中児からのようであるが、個別の対応は必要であり、特に、書字に必要な運筆や、線の始点・終点を認識することについては、身体的、認知的発達を充分に考慮しなければならない。 先行事例や幼児向けの市販教材での書字支援のほとんどが、「なぞり」によるものであり、保護者の中には、こういったものを積極的に活用している場合がある。しかし、身体的な発達が考慮されない状態で、早期になぞりによる書字を開始した場合、就学直前の年長児の中に、ひらがなの音と字形の対応が不十分であるため、なぞることができても、ひらがなの字形を認識することにつながっていないという事例が確認された。 運筆の支援には、姿勢を保持するためのものと、書字のためのものの、2種類が必要であり、その教材の検討を行った。 よい姿勢で運筆を行うためには、上体を安定させて、腕を大きく動かすような長い線を書くことが効果があり、こういった運筆を可能にする教材を作成し、成果を得た。 また、年中児クラスと年長児クラスで、書字のための運筆練習で、色つきのマスを使用したところ、文字を構成する点画の長さに気づかせる効果があることがわかった。この結果をもとに、小学校への接続をねらいとして、年長児クラスで、異なるタイプのマスに自分の名前を書くといった課題を設定し、その効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼小連携を推進する上で欠かせない、保護者への対応については、方針や方法の検討を進めたが、具体的な資料を作成するところまでは及ばず、この点について、「やや遅れている」と判断した。 なお、就学前と就学後の身体的・認知的発達が異なるため、小学校で行われる書字学習を、そのまま幼児に実施することは、無理があるだけでなく、むしろ書字に関する幼小連携を阻害してしまう可能性があることを確認し、幼児期の望ましい書字支援について、教材開発を進めることができている点においては、ほぼ予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児期の書字支援のためには、書字の姿勢を安定させることをねらいとするものと、文字を構成する点画を自在に書くことができるようにするためのものの2通りの運筆練習を行わせることが必要である。その際、負担のないよう、幼児が興味を持って行うことができる教材を作成し、その効果を検証する。なお、文字の大きさや分量については、昨年度までの検討により、具体的な方策のための資料は整っている。 また、小学校との接続を円滑にするためにも、保護者との連携が必要であり、保護者向けの資料の作成とその効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
幼児の書字支援のための教材及び、保護者向け資料の作成のための物品費や謝金、研究協力者との打ち合わせのための旅費が主なものとなる。
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