2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
井上 正之 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (90553941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 文雄 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (20220775)
新井 孝昭 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (70232014)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / デジタル教材 / 聴覚障害教育 |
Research Abstract |
まず、全国の聾学校・聴覚特別支援学校に対して、平成23年度一年間の外国語活動の実施状況のヒアリングを実施し、28校から回答を得た。得られた回答の分析により、聴覚障害児の障害の特性に配慮した教材の必要性、特に音声英語の視覚化(音声と同期した字幕など)・アメリカ手話等の外国の手話の積極的な導入への要望が強いことを明らかにした。 また、ヒアリング結果を元に、授業実践のためのモデル校の候補を数校選定して、外国語活動の授業の実施状況の視察および外国語活動授業実施にあたっての詳細なヒアリングを行った。その結果、平成24年度から標準教材として使用されている「Hi.friends!」では音声中心であり聴覚障害児にとって使いにくいこと、外国語活動が正式に実施されるようになってからまだ日も浅く聴覚障害児に適した教材の整備が十分になされていないこと等の問題点を明らかにすることができた。また、本研究で開発予定の教材ソフトを用いての具体的な実践内容と実践時期の協議・検討を行った。 さらに、上記ヒアリング内容を踏まえて、インターネットなどで公開されている外国手話映像の素材などを利用した簡易版教材ソフトの試作を行った。そして、モデル校において本試作教材ソフトを利用した授業実践を行った。その結果、音声英語と同期した字幕・アメリカ手話等の外国の手話などの視覚的な教材を用いることで聴覚障害児の学習意欲が明らかに向上する等のポジティブな効果がみられることを明らかにするとともに、今後の教材ソフト開発にあたっての課題の整理検討を行った。 合わせて、本研究で開発する教材ソフトのために必要となる手話映像素材作成の参考とするため、アメリカ・北欧などにおける手話映像データベースの現状調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、全国の聾学校・聴覚特別支援学校に対するヒアリングを実施して、聴覚障害児の障害の特性に配慮した外国語活動教材に対するニーズがあることを明らかにできたこと、また本ヒアリングを通して今後の授業実践を行うモデル校の選定を行えたこと、ヒアリング結果に基づいて簡易版教材ソフトを試作してモデル校において実践して本研究が目指す教材ソフトの方向性について肯定的な評価が得られたことは、当初の研究計画通りであり、その意味で順調に進めることができたと言える。 その一方で、聴覚障害児向けの外国語活動に必要とされる手話映像等の整備についてはネイティブの外国人ろう者の選定作業に時間を要していることから本年度はインターネットで公開されている手話映像を使用するにとどめており、次年度に向けた課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討結果を踏まえて、下記を実施する。 (1)ネイティブの外国人ろう者モデルなどを活用した教材ソフト試作の推進 (2)モデル校における授業実践の推進とその結果を踏まえた教材の改良点などの分析 (3)上記検討結果の学会発表へ向けたまとめ (4)教材のライブラリー化とその公開(サーバ)による共有の仕組みづくりの検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
聴覚障害児向けの外国語活動に必要とされる手話映像等の整備についてはネイティブの外国人ろう者の選定作業に時間を要しており平成24年度はインターネットで公開されている手話映像を使用するにとどめたため、謝礼として予定していた金額の大部分を次年度に持ち越すこととなった。持ち越した予算と今年度の予算と合わせた分を最大限に活用してネイティブ外国人ろう者による外国手話関連の映像素材の整備を積極的に進め、教材ソフトをさらに充実したものとする予定である。 その他、出張・物品費などについては当初の予定通りに執行を進められる見通しである。
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