2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531179
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
井上 正之 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (90553941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 文雄 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (20220775)
新井 孝昭 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (70232014)
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Keywords | デジタル教材 / ユニバーサルデザイン / 聴覚障害教育 |
Research Abstract |
まず、前年度に試作した聴覚障害児向けの外国語活動のデジタル教材を、複数のろう学校において授業実践・意見交換を行った。また、前年度までの検討結果に基づいて日本特殊教育学会大会への投稿を行い、昨年9月に開催された大会で発表・議論を行うことができた。上記のとおり実施した意見交換・議論を受け、デジタル教材の改良版の仕様検討を進め、文部科学省より提供されている教材「Hi,Friends!」との親和性をより高めたものとすることにした。具体的には、アメリカ手話(以下、ASL)をベースとして、Adobe社のFlashにより以下の機能を実現することを目指している。 ・教材に出てくるすべての英単語(絵カードを含む)・英文(会話を含む)を、対応するASL表現・日英字幕(共に必要に応じてオンオフ可)とリンク ・元の教材でCDを聞いて答える部分を、ASL表現・日英字幕で代替させると共に、解答を視覚的に表現 ・指導者の便宜を考慮し、「指導者の表現例」のASL表現を日英字幕と共にデータベース化 教材については現在3割程度まで仕上がっているが、適宜複数の聾学校で授業実践を行ったり意見交換を実施したりしながら機能のブラッシュアップを行っている。また、外国語活動においてはコミュニケーションが重視されておりデジタル教材だけでは対応が困難なため、ネイティブの外国人ろう者の協力を得て試行的に筑波技術大学と地方のろう学校とをインターネット回線を通じてテレビ会議ソフトにより接続しオンライン授業を実施した。その結果、生徒たちが積極的に質問するなどポジティブな反応が多く見られ、本試行の意義を示唆するものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ろう学校での授業実践・意見交換および学会発表については予定どおり実施することができた。 その結果得られた意見・改善要望などをもとに、前年度までに試作したデジタル教材の改良版の仕様検討を進めたが、必要な機能の確定にかなり手間取った。また、デジタル教材の改良版作成にあたっては、ネイティブ外国人ろう者をモデルとして映像素材を蓄積していく必要があるが、適切な人材の確保と撮影スケジュールの調整などに時間がかかり、年度末に集中して作業せざるを得ない状況となった。また、必要な映像素材を準備して教材に落とし込んでいく作業量も予想よりかなり膨大なものとなり、現在までに3割程度まで進捗した状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ろう学校での実践と検証・分析を通じてデジタル教材の開発・改良を進めて、教材の完成度を高めていく。また、それと共に、試作した教材をインターネット上で公開し閲覧できる環境の構築についての検討も進めていく。 また、外国語活動についてはコミュニケーションが重視されておりデジタル教材だけでは対応が難しいことから、ネイティブ外国人ろう者を外国語指導助手(ALT)としたオンライン授業の試行も引き続き進め、オンライン授業実施にあたっての課題整理・検討なども行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ろう学校での授業実践・意見交換および学会発表での議論を受けて得られた意見・改善要望などをもとに、前年度までに試作したデジタル教材の改良版の仕様検討を進めたが、必要な機能の確定にかなり手間取った。また、デジタル教材の改良版作成にあたっては、ネイティブ外国人ろう者をモデルとして映像素材を蓄積していく必要があるが、適切な人材の確保と撮影スケジュールの調整などに時間がかかり、年度末に集中して作業せざるを得ない状況となった。そのため、必要な映像素材の準備と教材への落とし込み作業が予定の3割程度まで進捗した状態となっている。これらの事情により次年度使用分が生じた。 主に、謝金と旅費の使用が遅れている状況である。まず謝金については、26年度前半までには、ネイティブ外国人ろう者による外国手話の映像素材の準備と教材への落とし込み作業をすべて終わらせ、デジタル教材を完成させることができるよう、計画をたてて進めており、そのための経費として使用する予定である。また旅費については、適宜複数のろう学校での授業実践と検証・分析を実施し、地方のろう学校を対象としてネイティブ外国人ろう者を外国語指導助手(ALT)としたオンライン授業実施の試みを進めていく予定であり、そのための経費として使用する予定である。
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