2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山田 康彦 三重大学, 教育学部, 教授 (30220411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
森脇 健夫 三重大学, 教育学部, 教授 (20174469)
根津 知佳子 三重大学, 教育学部, 教授 (40335112)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PBL教育 / アクティブラーニング / 対話型授業 |
Research Abstract |
本研究は、PBL 教育(問題発見解決型学習)における、1対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすることを目的としている。平成24年度の実施計画は、①従来のPBL 教育の実践事例の批判的な分析、②PBL教育や対話論に関する書籍・論文の収集とそうした先行研究の検討、③具体的な対話型シナリオの作成の開始であった。 ①従来のPBL 教育の実践事例の分析では、国内PBL教育の先進大学である三重大学のPBL教育事例を全体的に検討し、これまでのPBLシナリオが既定の解答を前提にしている特徴があることを明らかにした。さらにこれまでの教員養成PBL教育の分析も行い、当初のリアリティのある実践現場の開拓から現代的課題に基づく理論と実践の融合へと発展していることを明らかにした。これらによって、まだ国内の大学では多くは普及していないPBL教育の実践事例の到達点と課題が明らかにできた意義は大きい。 ②PBL教育や対話論に関する文献の収集と先行研究の検討については、日本のみならず欧米の文献も収集・検討した。その成果としては研究協力者が国語科授業における対話論の分析を行い、欧米についてはとくに大学全体でPBL教育を展開しているアメリカのデラウェア大学における教員養成PBL教育の内容と方略を検討した。これらによって、特に教員養成分野のPBL教育と対話論の到達点を明らかにできた。 ③具体的な対話型シナリオの作成の開始については、まず対話型PBL事例シナリオの原理、作成方針をまとめ、そして学習指導、特別支援教育、技術科・音楽科・図工科教育のシナリオの試案を作成し、一部試行した。とくに対話型事例シナリオの原理を、「1、目的は正解に至ることではない」など3点に定式化し、4点にわたる作成方針を明らかにしたことは、まだ十分に研究が進んでいないPBL教育の研究にとって大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、PBL 教育(問題発見解決型学習)における、1対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすることを目的としている。平成24年度は、①従来のPBL 教育の実践事例の批判的な分析、②PBL教育や対話論に関する書籍・論文の収集とそうした先行研究の検討、という基礎的な研究を行い、その上で本研究の主目的である対話型シナリオの作成を具体的に開始するという計画を立てた。 上記①②の基礎的研究部分については、「研究実績の概要」に記したように、まだ国内の大学では多くは普及していないPBL教育全体の実践事例の到達点と課題が明らかにでき、特に教員養成分野のPBL教育と対話論の到達点を明らかにでき、計画通り進めることができた。 さらに対話型シナリオの作成の開始については、まず対話型PBL事例シナリオの原理、作成方針をまとめた。その原理としては、「1、目的は正解に至ることではない」など3点に定式化し、さらに「正答は一つではないケーススタディの発想」など4点にわたる作成方針を明らかにした。この原理と作成方針を明らかにすることができたことによって、それを指針にして、具体的に学習指導、特別支援教育、技術科・音楽科・図工科教育のシナリオの試案を作成した。とくに学習指導と特別支援教育分野のシナリオは、実際に学生を対象とした授業や現場教師を対象とした研修で一部試行した。このように研究は計画通りに進展しており、順調に研究の目的を達成してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の到達点をふまえ、今後の研究の推進方策としては、研究目的である1PBL教育における対話型のシナリオの作成、2小集団学習における対話の支援の方法を明らかにすることを実際的に進める。そのため当初の計画の通り、以下のことを行う。 1、対話型シナリオを各教科、領域において、複数つくりだす。それを組み合わせてストーリー化し、授業書のような形にまとめていく。例えば、「学習指導での困難事例に対する対応」「特別支援教育での子ども対する教師の対応」「図工科での表現の指導」などである。試行、改善を繰り返してその完成度を高める。 2、小集団学習における対話の質を高める支援の方法も検討し、具体的な提案ができるようにする。具体的には対話型事例シナリオ作成時の発問の工夫や質の向上、授業の進め方などについて、三重大学および神戸大学において試行しながら実践的に研究する。 3、研究の成果の評価を進める。評価の方法としては、パフォーマンス評価と学生の自由記述作文をもとにする。学生の評価をもとに対話型のシナリオ、また小集団学習の支援の仕方を改善していく。また教材作成者だけではなく、第三者にその授業書を使用してもらって評価を行う。その一連の過程をいくつかの学会(日本教育方法学会、日本質的心理学会、京都大学フォーラム)にて報告を行い、評価を受ける。さらに最終年度にはシンポジウムを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PBL教育の対話型シナリオ作成には、大学の授業及び小・中・特別支援の各学校現場の授業の取材が不可欠である。そのため平成25年度は大学全体でPBL教育を進めている長崎大学や福井大学、平成26年度は山口大学と東京学芸大学、さらにそれら大学周辺の学校現場への調査研究を予定している。また毎月研究打ち合わせを行い、年に2回研究代表者・分担者全員が参加して集中的な研究検討を行う予定である。さらに研究成果を「大学教育研究フォーラム」などの学会で発表する予定である。それらのために国内旅費を使用する計画である。 そうした調査研究に当っての資料提供費、調査研究の補助、及び記録テープの起こしや整理などに人件費および謝金を使用する。 また調査研究とシナリオ作成に必要な図書の購入、コンピューター関係の機器、などに消耗品費を使用する。 さらにその他、資料複写費や会議費を必要とし、最終年度には研究成果を冊子にするための印刷費を計上している。
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Research Products
(5 results)