2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校教員養成段階における給食指導を扱った授業モデルの開発
Project/Area Number |
24531201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 洋子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40187779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学校給食 / 教員養成 / 食育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、給食指導に関する内容を教職関連科目の一環に位置づけることである。学校給食は小中学校の教育課程上、特別活動の範疇に入り、特別活動に関する科目は、教育職員免許法上必修科目として位置づけられているが、内容については言及されていないので、学校給食の扱いについては不明瞭である。給食の時間が食育の絶好の機会であることを、毎日の給食を児童とともに食す教師一人ひとりが理解し、指導に必要な力量を備えていることが要求されることから、教員予備軍に必要な指導を行わなくして、食育の充実と継続は難しいと考える。 そこで本研究においては、教員養成大学で給食指導に関連した内容を扱っている授業をインターネット等により検索し、担当者に指導することに至った経緯や、指導内容及び工夫などをインタビューし、得られた示唆を参考に授業モデルを開発する。そして、給食指導に必要な力量形成を行うことが、食育の充実と継続に重要であることを提起する。 今年度は、H大学のK教授より、授業で使用しているパワーポイントのファイルや配布資料の提供を受けることができた。また、学級担任に理解しておいてもらいたい内容の検討については、栄養教職員、小学校の教科・学級担任、教員志望の学生を対象にアンケート調査をそれぞれ実施した。調査項目は、栄養教諭、小学校教諭の協力により作成した。栄養教職員の調査結果については、日本家庭科教育学会近畿地区大会において報告した。さらに、本研究に関連してこれまで行ってきた学校給食での安全・衛生面に関する教員志望学生の意識と実態を論文にまとめた。一方、申請者が担当の初等家庭科教育法において、学校給食を扱った授業1回分を別々のクラスで4回の繰り返しで実施し、学生の反応をみた。国際家政学会に参加した際には、デンマークの給食について知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員養成大学において給食指導に関連した内容を扱っている授業をインターネット等により検索することに努めたが、数件しか検索できなかったので、実施状況を数量的に示すことを断念した。しかし、今年度、調査に協力頂けたH大学の授業の担当者から、授業で使用しているパワーポイントのファイルなど、多くの情報提供を受けることができた。H大学では、平成20年度に新カリキュラムをスタートさせた時点から、特別活動論において「食育(学校給食)」を3回分、担当者の積極的な申し出により開講することに至ったとのことであった。学校給食を全面的に取り上げるのではなく、食育の一部としての扱いであり、箸のマナーなど食育指導に必要な基礎的な知識等も扱われていた。授業の際の資料として、文部科学省による「食に関する指導の手引」が活用されていた。 申請者が行った試行的な授業では、文部科学省の「食に関する指導の手引」の学校給食のページに加えて文部科学省作成のDVDを使用した。DVDはコンパクトにまとめられており、概要説明には有効であった。なお、申請者は、教養科目「食育と生活」を開講しているので、H大学のように食育指導の内容には触れなかった。今年度は1回(90分)の授業であったことから学校給食の役割を中心に授業を設計し、ノロウイルスやアレルギーへの対処法といった実際的な内容については詳細を扱わなかったが、次年度は、実際的な内容の授業展開を試みるとともに、必要な授業回数についても合わせて検討する。 学級担任に理解しておいてもらいたい内容を検討する際の示唆を得るために実施したアンケート調査では、栄養教職員81名、小学校の教科・学級担任については86名、教員志望学生については253名の有効回答を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、教員養成大学において給食指導に関連した内容を扱っている授業担当者に、授業の開設に至った経緯や、指導内容及び工夫などをインタビューする。今年度は、S大学とHo大学の各教員へのインタビューを予定している。 昨年度実施した小学校の教科・学級担任及び教員志望の学生対象のアンケート調査の結果を分析し、学会での報告を通して研究に対する意見を広く求める。 モデル授業の開発にあたっては、昨年度に実施した授業の学生の反応や、資料提供を受けたH大学のK教授の授業を参考に、バージョンアップを図るとともに、授業回数についても検討する。昨年度の授業では学校給食の場面や歴史を紹介するのに、文部科学省が作成したビデオを使用した。このビデオでは、学校給食を概説的に扱っているので、学校給食を幅広く理解させるには効果的であるが、低学年と高学年といったように学年差による配膳や食事中の様子の違いがわからないので、今年度は協力校を依頼し、低中高学年ごとの給食時間の様子を撮影する。さらに、ビデオ教材は、短時間の授業において有効であることから、無料公開されているビデオ教材を検索、収集、視聴し、活用の有効性を検討する。有効と判断したビデオ教材の一覧表(タイトル名、製作機関、概要他)を作成する。 デンマークの学校給食に関する論文や資料を検索する一方、研究者と直接ディスカッションできる機会の設定に努め、デンマークの学校給食から示唆を得ることの可能性を探る。デンマーク以外の先進諸国の学校給食の様子や、食育の推進状況と課題についても国際的な会議に参加し、広く知見を得ることに努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教員養成大学において給食指導に関連した内容を扱っている授業担当者にインタビューを行うための出張費等を必要とする。 低中高学年ごとの給食時間の様子を撮影する際の、撮影助手、並びに編集助手への謝金と、映像を収録するメディア等の消耗品の購入を必要とする。 内外の学会や会議に参加するための出張費を必要とする。 知見を広めるための図書費を必要とする。
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Research Products
(2 results)