2013 Fiscal Year Research-status Report
小学校教員養成段階における給食指導を扱った授業モデルの開発
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24531201
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 洋子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40187779)
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Keywords | 学校給食 / 給食指導 / 食育 / 教員養成 / 小学校 |
Research Abstract |
本研究の目的は、給食指導に関する内容を教職関連科目の一環に位置づけることである。学校給食は小中学校の教育課程上、特別活動の範疇に入り、特別活動に関する科目は、教育職員免許法上必修科目として位置づけられているが、内容については言及されていないので、学校給食の扱いについては不明瞭である。給食の時間が食育の絶好の機会であることを、毎日の給食を児童とともに食す教師一人ひとりが理解し、指導に必要な力量を備えていることが要求されることから、教員予備軍に必要な指導を行わなくして、食育の充実と継続は難しいと考える。 そこで本研究においては、教員養成大学で給食指導に関連した内容を扱っている担当者に、指導することに至った経緯や、指導内容及び工夫などについてインタビュー調査を行う。また、給食時間に学級担任が行うことになっている給食指導の内容について、学級担任、栄養教職員、教員志望学生の各意識を調べる。 これらの結果より得られた示唆を踏まえて、教員養成段階における「給食指導」の授業内容を検討する。給食指導に必要な力量形成を行うことが、食育の充実と継続に重要であることを提起する。 今年度は昨年度のH大学のK教授に続き、S大学のF教授にインタビューをお願いし、「特別活動の理論と実践」の授業の中に「食育と給食指導」の内容を取り入れられた理由、授業内容の詳細と内容を決める際に配慮した点、教員養成のうえでの食育・学校給食に関する指導に対する先生のお考え等をお聞かせ頂いた。また、栄養教職員の調査結果をH24年度に報告したのに続き、今年度は小学校の学級担任の調査結果を日本家庭科教育学会近畿地区会において、教員志望の学生の調査結果を日本家政学会関西地支部会において報告した。 一方、申請者が担当の初等家庭科教育法において学校給食を扱った授業を昨年度に引き続き実施し、学生の反応をみた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査については、予定していたS大学のF教授にお願いし、特別活動に関する科目においては、学級経営の視点か給食指導を扱うのがよいとの示唆を得た。以下はF教授のご意見の一部である。「生理的欲求や健康的な生活にもかかわる毎日の給食指導は、子どもたちの「育ち」をみとる場でもあり、ケアが必要な問題に教師が気づきやすい場でもあります。そして、教師と子どもの信頼関係を築く場になることもあります。」 学会発表については、次の2件である。①2013年8月19日に大阪で開催の日本家庭科教育学会近畿地区実践・研究発表会において、「小学校における給食指導の実態とクラス教員の意識」の題目で発表した。給食時に指導している内容の他に、児童の生活習慣や身体状況で気にしていること、給食にかかる時間、栄養教職員に指導して欲しい内容等を報告した。②2013年10月12日に大阪にて開催の日本家政学会関西支部研究発表会において、「小学校における給食指導に対する教員志望学生の意識」の題目で発表した。教員になった際に指導したい内容を、栄養教職員及び学級担任と比較して報告した。学校給食に対する経験・印象、給食指導に対する考えも合わせて報告した。*栄養教職員を対象にした調査については、H24年度に日本家庭科教育学会近畿地区実践・研究発表会において報告している。 授業実践については、申請者が担当する初等家庭科教育法において、安全・衛生に重点を置いて給食指導に関する内容を取り上げた。学校でのアレルギー事故への対応と処置については、児童の命を奪うことになった事件が記憶に新しいこともあり、強い関心を示していた。本学の授業科目「特別活動」の担当者と話し合った結果、次年度の授業の中に給食指導を取り入れる了解を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の趣旨と研究の成果を内外に発信するために、栄養教職員、小学校の学級担任、教員志望の学生を対象に、給食時間の学級担任の指導内容について調査した結果を発表する。海外に対しては2014年7月にカナダにおいて開催されるIFHE(国際家政学会)において「The necessity for learning about school lunch instruction for the student of a teacher training course」の題目で発表する。国内に対しては、「小学校教員養成段階における給食指導を扱った授業内容の検討」の題目で論文にまとめ、投稿する予定である(投稿先は未定)。 インタビュー調査については、昨年度中に実施できなかったHo大学のS教授にお願いする予定である。 授業実践については、申請者担当の初等家庭科教育法で引き続きバージョンアップを図り実践を重ねる。また特別活動の担当者との話し合いの機会を設け、特別活動での講義内容を検討する(授業は後期に開講)。これらの実践の結果を踏まえて、教員養成大学における「給食指導」の指導モデルを作成し、ホームページを通して発信する。また、その際に授業で使用するのに有効なビデオ教材のリストを作成し、掲載する。 なお、欧米諸国の食育の推進状況に関する情報を得ることにも努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Ho大学のS教授へのインタビュー調査を計画していたが、双方の日程が合わなかったことから昨年度中に実施できなかったため、次年度への繰り越しになった。次年度は、Ho大学への出張の他に、7月にカナダで開催されるIFHE(国際家政学会)での発表を予定してるため、そのための出張費等を必要とする。 知見を広めるための図書費を必要とする。 Ho大学のS教授へのインタビュー調査については、6~7月中に日程調整を行う予定である。 7月にカナダで開催されるIFHへEの出張については、航空券、宿泊等の手配済みである。
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Research Products
(3 results)