2012 Fiscal Year Research-status Report
身近な染色材料を使用した安全で簡便な家庭科染色教材の開発
Project/Area Number |
24531211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
小松 恵美子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70550408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教材開発 / 家庭科 / 染色 / 安全 / 簡便 / 実験 / 実習 |
Research Abstract |
本研究は、「玉ねぎ外皮染め並びに土染めの染色現象の解明」と「教材化に向けた安全で簡便な染色を行うための最適染色条件の選定」の2本の柱から成っている。平成24年度で進展した研究項目とその概要は、以下の通りである。 1.「鉄、カリウム、アルミニウム水溶液のpHが玉ねぎ外皮染色布の色に与える影響について解明する」について:混合液による分析が進展している。現在、鉄およびアルミニウムと玉ねぎ外皮色素との錯体形成が促進し始める混合比率とpHを解明しつつあり、研究成果を平成25年度家政学会で発表する予定である。 2.「玉ねぎ外皮染めの媒染剤に食品添加物が応用できるかを検討する」について:当初の計画以上に進展している。市販食品添加物である鉄、アルミニウム、カリウムの金属塩が、化学実験試薬と同様に媒染剤に使用できることを明らかにした。さらに一歩進んで、媒染剤の濃度を下げる検討を現在進めている。これらの研究成果は、平成25年度家庭科教育学会で発表する予定である。 3.「市販の土顔料を用いて布の染色方法を検討する」について:浸漬染色法での染色時間の影響を分析しており、研究成果を平成25年度繊維学会年次大会で発表する予定である。 4.「教材化に向けて、1時間の授業で行えるように染色手順を単純化し時間を短縮化する」および5.「授業実践を行い、教材が適切であるかを検証する」について:高等学校家庭科教諭である研究協力者とともに実践による検討を重ね、教材の改善を進めている。研究成果の一部は平成24年度の家政学会および家庭科教育学会で発表済みである。また、北海道教育大学紀要に論文を3報、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、小中高の家庭科教員が求めている「身の回りの用具で簡便に行え、明確な結果が得られて驚きや納得をもたらす実験・実習教材」として、玉ねぎ外皮染めと土染めに着目し、染色教材として確立するための基盤研究を行うことである。研究実績の概要で述べた研究項目1・2は平成24年度の研究計画であり、現在も研究は進行中である。 平成24年度に計画していて着手できなかった研究項目は、土染めへの「地域の色土の利用」である。行えなかった理由としては、研究代表者が平成24年4月に勤務先を移動したことにより、研究環境を整えるのに時間を要したため割愛せざるを得なかったことと、さらに新しい土地で一から情報収集をしなければならなくなったことの2つが挙げられる。 だが、研究の遅れが出た一方、予定より先に進んだものもあった。研究実績の概要で前述した研究項目3・4・5は、平成25年度の研究計画に一部着手した内容である。従って総合的に判断すると、研究はおおむね順調に進展したと言えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度~平成26年度の研究の推進方策の予定は、次の通りである。 1.土染めの染色現象を解明するための研究を進め、種々の染色条件の中で影響の大きい因子を明らかにする。並行して、地域の色土を土染めに利用するための研究を進める。鮮やかな色を持った土を近隣地域で探し、簡便な方法(パックテスト)で安全性を確認した上で、教材への利用を検討する。 2.玉ねぎ外皮染色布の色に与える媒染剤の影響を解明するための研究を進展させる。また実用に耐える染色条件を決定するために、玉ねぎ外皮染色布の耐光堅牢度と、土染色布の摩擦堅牢度を調べる。 3.授業教材化のために、安全で簡便に染色を行える最適染色条件を選定する。用具の工夫や、染色現象の理にかなった作業手順の分割等を検討する。 4.平成26年度には、開発した染色教材の実験・実習のノウハウと染色の特徴・原理などをわかりやすく解説した資料を作製して公表し、教育現場で活用されることを目指す。並行して、北海道教育大学附属小・中学校とその特別支援学級、ならびに高校等での授業実践を行い、教材が適切かどうか検証し、さらに改善を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)