2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代韓国における道徳科カリキュラム改革の分析的考察
Project/Area Number |
24531212
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
関根 明伸 国士舘大学, 体育学部, 准教授 (10364449)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 韓国の教育 / 韓国の道徳教育 / 道徳教育のカリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの韓国の道徳教育に関するカリキュラム研究は、マクロ的な政策過程の分析やカリキュラムの表層的な分析に終始するものが大勢を占め、内在的な論理を分析しようとする研究はほとんど見られなかった。それに対して本研究では、「第7次教育課程」(1997)から「2009改訂教育課程」(2009)の時期を対象に、国家基準カリキュラム改革と検定教科書への転換に注目し、全体をつらぬく道徳科教育の論理について、俯瞰的、客観的に分析しようとした。そして韓国の道徳教育には、固有の論理がどのように組み立てられているのか、あるいは矛盾を含んでいるのか、明らかにすることを研究目的とした。 最終年度にあたる本年度においては、具体的には次の3点に焦点化して研究を進めた。、①一次資料に基づいて実証的に検証すること、②「改訂カリキュラム」と教科書における教科教育としての内在的な論理を明らかにすること、③日韓の関連学会で成果発表すること。 結果、韓国の道徳科教育における改革は、冷戦時代からの政治イデオロギー教育を重視した政策から脱皮し、本質的な道徳教育の追究と教科アイデンティティーの確立過程として展開されていることが明らかとなった。そして、このような改革の動向は、「道徳」の教科化が方向づけられた我が国にも示唆する点が少なくない。したがって、こうした道徳科のカリキュラムと教科書に関する本質の究明は、道徳教育の基礎的、原理的研究に資するとともに、日韓両国に共有可能となる道徳教育の資料を提供し、韓国教育の理解、ひいては東アジア教育に関する研究において大きな意味を持つと考えられる。
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