2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバル時代における移民学習の教材開発-ポストコロニアルの視点から
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24531214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
森茂 岳雄 中央大学, 文学部, 教授 (30201817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 京子 帝京大学, 教育学部, 准教授 (50411103)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 移民学習教材 / ポストコロニアル / 多文化共生 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポストコロニアルな視点からの日系移民学習教材(主に読みもの教材)を開発し、それを活用した授業実践を行い、その意義と可能性を検証することである。初年度である2012年度は、次の3点を研究計画として行った。①関連文献・資料の収集と教材開発の視点の抽出、②移民に関する読み物教材の収集及び関係者へのインタビュー調査、③内外の研究協力者との協議。 ①に関しては、研究視点としている「ポストコロニアリズム」及び「ポストコロニアル教育学」について、その分野の研究者であるサンフランシスコ州立大学のD.ヘンプヒル教授を訪問し研究動向について意見聴取を行い情報を収集するとともに、内外の関連文献についても集中的に収集を行った。 ②については、日系移民についての研究者である同じくサンフランシスコ州立大学のW.ウエウンテン准教授にインタビュー調査を行い、アメリカにおける移民学習教材の開発状況について情報を得るとともに、紹介されたサンフランシスコの全米日系人図書館において、アメリカで開発された日系移民学習のカリキュラムや移民に関する児童図書の調査、収集を行った。 また、③については、予定したサンフランシスコ州立大学のD.ヘンプヒル教授、W.ウエウンテン准教授、及び日本における代表的移民研究者である吹田市立博物館の中牧弘允館長(前国立民族学博物館教授)等と、直接訪問やメールを通して定期的に協議をの場を持ち、今後の研究についての助言を受けた。 加えて、当初の研究計画以外に、並行してJICA横浜海外移住資料館の協力を得て、研究分担者他と連携して進めていた移民学習教材である「日本ーブラジル移民カルタ」の開発に、今年度の研究成果を生かし「日本ーブラジル移民カルタ」を完成させたとともに、その開発の経緯や意義について同資料館の『研究紀要』7号(2013年)に成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した初年度の研究計画(上記①~③)は、十分に達成できた。これによって、本研究についての先行研究(ポストコロニアル教育学や移民学習についての内外の文献)や、アメリカにおける移民に関する児童生徒用の読み物教材が収集でき、今後開発する日系移民に関する読み物教材の具体的構成イメージを作ることができた。また、収集した文献研究を通して、研究の視点である「ポストコロニアル」についての理解を深めることができ、今後開発する教材にその視点をどのように反映させたらよいかの可能性を探ることができた。 それに加え、研究分担者と並行して進めていた日系移民カルタ教材の開発に初年度の研究成果を生かすことができ、「日本ーブラジル移民カルタ」を完成させるとともに、その成果を論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、具体的な移民読み物教材の開発に向けて、研究分担者、研究協力者と協力して、①日本からの出移民についての文献調査や移民関係博物館の調査を行うとともに、②海外日系人へのインタビュー調査を行い、その成果を読み物教材の内容として反映させる。特に海外日系人調査については、日本人の最大の移民先国であるブラジルの他、戦前に日本が植民地支配を行ったマリアナ諸島やフィリピン等の東南アジアを対象としたい。後者地域への移民については、これまでの移民学習においてほとんど取り上げられてこなかった地域であり、ポストコロニアルな視点から日本人移民を教材化する格好の事例であり、この地域に焦点を当てることも本研究の独創的な点である。 具体的なインタビュー対象者の選定や実際のインタビューに当たっては、ブラジル移民に詳しい研究協力者の福山文子氏、マリアナ諸島をフィールドにしている研究分担者の他、フィリピンをフィールドにする移民教育史の専門家である研究協力者の小林茂子氏他の協力を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、ハワイへも日系人調査に行く予定であったが、予定の期間と先方の受け入れ可能期間が合わず、ハワイへの調査が実施できなかったので、繰越金が発生した。次年度の研究費の使途については、繰越金を含め、①設備備品費として、日本人移民・日系移民関係の図書の購入、②旅費として、国内については、JICA横浜海外移住資料館、海外移住と文化の交流センター(神戸)、日本ハワイ移住資料館(周防大島)等の移民関係博物館、国外については、今年度実現できなかったハワイ調査の他、マリアナ諸島及び東南アジアの日系人調査費、及び③その他、それらの調査における関係者からの専門的知識の提供に関する費用や資料の整理のための人件費として使用する計画である。
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Research Products
(9 results)