2013 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒が主体的な行動選択の力を身につけるための道徳指導法に関する研究
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24531220
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 洋誉 愛知工業大学, 工学部, 講師 (60547983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 尚 中部大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10233686)
古里 貴士 東海学院大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00610271)
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Keywords | フィンランド / 移民教育 / 道徳の教科化 / グローバル人材 |
Research Abstract |
2年目にあたる当該年度は、安倍政権が進める道徳の「教科化」に関する政策分析とフィンランドにおける多様性教育に関わる実地調査を行った。 安倍政権が進める道徳の「教科化」に関する政策分析については、教育再生実行会議・中央教育審議会の審議録や提出文書を主な分析対象として分析を行った。①改定教育基本法第2条(教育目標)にある徳目の実質化を図る「教科化」であること、②とくに愛国心に関しては成績評価・国定教材作成をとおして、子どもの内心の自由を侵害する恐れがあること、③教員の専門性や市民的自由にもとづく指導との矛盾が生じうること、④グローバル人材育成路線の大学改革とも整合性を有することなどを指摘した。なお、政策の動きに従うかたちでこうした分析に取り組まざるを得なかったため、本来計画していた道徳の地域教材や民間出版社の副読本については十分な収集ならびに分析が行えなかった。 フィンランドにおける多様性教育に関する実地調査については、当該年度は前年度にひきつづき2回の現地訪問を行った。今回はとくに移民との共生に着目し、移民の準備教育や移民の多い学校での学習指導・クラス運営、また学校外のアフタヌーン・アクティビティ(学童保育+母親教室)でのヒアリング調査・授業等観察を行った。①移民に対するフィンランドへの愛国心の涵養はなされていないこと(少なくとも明示的・意図的・計画的な愛国心教育はない)、②移民に対しては道徳教育・宗教教育よりも言語教育、生活指導に力点が置かれていること、③移民に対しては母国の文化を尊重させていることなどが、実際の授業・インタビューで見聞することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
安倍政権の教育政策の動きに応じた政策分析(道徳教育に限らず、関連する教科書検定、教育委員会、大学ガバナンスなど)を中心に行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)道徳副読本・指導書の分析と指導案の作成・試行 安倍政権の教育政策(道徳の教科化)に応じたり、またはそれを先取りするような取り組みや地域教材(埼玉県、神奈川県、東京都など)の分析とともに、国の道徳資料、「心のノート」に関する批判的検討を行う。 (2)フィンランドの移民教育調査の成果発表と追加調査・資料収集 3回の実地調査ならびに帰国後の資料分析の成果を学会発表(日本教育政策学会を予定)、論文化するとともに、移民受け入れ反対派(国民党など)へのヒアリングや関連法令の収集を追加的に行う予定である(夏期休暇中)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画していた国内道徳教材の収集や授業観察のための出張が行えなかったことと、研究代表者と研究分担者2名でのフィンランド調査を予定していたが勤務校での職務の都合により研究分担者2名が調査に同行できなかったことによる。 当該年度に計画していた国内道徳教材の収集や授業観察のための出張、研究分担者1名が遠隔地に異動したことによる会議のための出張、フィンランドの追加調査のための出張に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)