2012 Fiscal Year Research-status Report
共有価値に基づく道徳教育カリキュラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
24531226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
西野 真由美 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (40218178)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 共有価値 / 国際情報交換 / カリキュラム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、グローバルな(世界規模の)現代的教育課題やアジア社会に共通な価値観及び我が国固有の伝統や文化のそれぞれを、これからの道徳教育で育てたい価値、すなわち「共有価値」として提起し、それに基づく道徳教育カリキュラムを開発する。 本年度は、各国の「共有価値」プロジェクトの成果に関する国際比較研究とそれに基づく枠組み構築のための試案づくりを行った。 まず、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、アメリカ合衆国およびアジア各国で実施された「共有価値」プロジェクトについて、これまでの実践の成果をまとめた。その際、国際的な比較の視点として、①共有価値の構築が求められる背景となった現代社会における問題や課題の認識、②共有価値の構築に向けた議論や決定の過程、③共有価値の社会へのアピール、学校への普及体制、④共有価値に基づくカリキュラムの開発事例、⑤成果に関する評価方法を挙げ、これらの視点に基づいて、各国の成果を比較できるようにした。各国の成果の分析に基づいて、共有価値を新たに構築するために必要な枠組みを作成している。 これと合わせてて、アジア・太平洋地域道徳教育学会(6月・台湾)において、アジア・太平洋地域各国の道徳教育研究者によるラウンドテーブルを開催して議論を行い、各国の状況を比較しつつ、「共有価値」の試案づくりに向けた準備を行った。 また、これまで各国で開発されてきた「共有価値」と様々な現代的教育課題との関連性を明確化するため、現代的教育課題(市民性教育・環境教育・情報教育・キャリア教育等)の実践研究校における価値に関わるカリキュラムを抽出し、それらに共通する価値と各教育課題に固有の価値を区別して整理・分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、次の三点である。 (1)世界各国における「共有価値」構築プロジェクトを比較評価する。 (2)これからの道徳教育に求められる「共有価値」を検討する。 (3)「共有価値」に基づく道徳教育のカリキュラムを開発する。 現在までに、世界各国における共有価値プロジェクトの成果を分析し、共有価値の枠組みの試合を作成した。さらに、この枠組みに基づいて具体的な「共有価値」を提起するために必要なアジア太平洋地域の道徳教育研究者・実践者のネットワークを確立し、国際会議におけるシンポジウム・ラウンドテーブル等で討議を重ねている。国内では、現代的教育課題の実践校の成果の分析に基づいて、新たに求められている価値の抽出を行っている。以上により、これまでの研究を評価して新たな共有価値の枠組みを検討するための準備体制が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.各国の「共有価値」プロジェクトに関する国際比較研究(4月~12月) 前年度にまとめた各国の「共有価値」プロジェクトの比較について、成果をとりまとめるとともに、進行中の各国プロジェクトについて、引き続き最新の情報を収集する。とくに、今年度に市民性教育に関する教育改革が予定されているシンガポールの状況を把握し、そこでの成果を本研究での枠組み構築と具体的なカリキュラム開発に役立てる。 さらに、平成24年度に作成した「共有価値」の試案に基づく、アジア太平洋地域道徳教育学会(6月)および国内の道徳教育学会(10月)においてラウンドテーブルや研究報告を実施し、内外のより多くの研究者から評価を受ける。 2.「共有価値」に基づく道徳カリキュラムの開発研究(11月~平成26年3月) 上記の評価に基づいて修正した「共有価値」の枠組みに基づき、共有価値と現代的教育課題を盛り込んだ道徳教育カリキュラムの開発方策について内外の研究者らと協議を重ねる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.旅費(外国出張) アジア太平洋道徳教育学会における成果発表および研究協議 50万円 2.旅費(国内出張) 道徳教育学会における成果発表および国内の協力校における調査 20万円 3.その他、発表資料の翻訳を依頼、実践校のビデオ撮影に必要な消耗品を購入する。
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