2012 Fiscal Year Research-status Report
盲・知的障害児の探索行動および認知機能の発達を促す教材・教具の開発
Project/Area Number |
24531230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐島 毅 筑波大学, 人間系, 准教授 (20241763)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 盲・知的障害 / 探索行動 / 認知発達 / 教材・教具 |
Research Abstract |
水平面の触空間における探索行動を促すための教材・教具の試作とその有用性の検証研究を行った。具体的には,両手の届く範囲の広い空間全体を探索する玉落とし課題を用いて,盲児の手指探索を観察することにより,平面上における手指探索および手指操作の特徴を明らかにすることを目的とした。対象は,触覚を主な学習手段として使用する、およそ2歳半を超える程度の知的水準の盲幼児6名,盲児童6名を対象とした。対象児のうち盲児は6名,盲・知的障害児は6名であった。教材は縦40cm,横60cm,高さ15cmの木製の箱の上面にMDF材を張り,玉を落とすための穴をあけたものを使用した。穴は半径が5cm刻みの同心円上に配置した。落とす鉄球の直径は15mmとし,平面上の穴は玉を鉛直方向に一定の力を入れて押すと落ちる程度の大きさとした。調査は対象児の通う盲学校の個別室において実施し対象児に平面上にある玉を探して落とすよう教示した。対象児が玉に触れたら開始とし,玉をすべて落とし終わるか,対象児が課題に飽き椅子から立ち上がったら終了とし,3試行行った。その結果,手首・腕の動き5カテゴリーの課題遂行時間に占める割合は,一試行目より二試行目もしくは三試行目において正中線を越える動きの割合が12名中8名増加した。左右の手の使い方の組み合わせは,両手を使用した割合が三試行とも90%以上であった者は12名中4名であった。両手を使用した割合が一試行目より二試行目及び三試行目で増加していた者は12名中7名であった。以上から,玉落とし課題は①対象児の興味・関心を持続的に引き出すことができる点,②手指探索を促し,基本的な手指操作の技術を引き出すことができる点,③積極的な探索方略の工夫を引き出すことができる点で有用性が認められた。玉落とし課題は,盲幼児の手指探索および手指操作の技術を伸長するのに効果的であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち,探索行動に関する研究について実施し,その成果をまとめることができた。また,今年度以降の研究についても,すでに計画・実施の準備をすすめている。加えて,研究成果について学会発表を行うと共に,学術論文に投稿中である。以上より,当初計画以上に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のように今後の研究の推進を行う。 (1)盲・知的障害児の探索行動を促す基礎研究の継続し,学術論文掲載を目指す。 (2)認知機能の発達を促す教材・教具の条件について,実験材料を作成し実施するとともに,その成果について学会発表及び学術論文に投稿する。 (3)認知機能の発達を促す教材・教具の系統的指導に関する報告書を作成し,全国の盲学校等に普及する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に実験用教材教具の購入を予定していたが、研究の遂行上、25年度に購入することとしたため、残額が生じた。 24年度残額分:実験用教材教具購入費 25年度分:○実験用機器作成費 ○実験・調査実施旅費 ○人件費(調査協力・調査データ分析) ○調査・実験記録用メディア等消耗品費 ○報告書印刷費
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