2012 Fiscal Year Research-status Report
極低出生体重児に対する医教連携による超早期教育支援モデルの開発
Project/Area Number |
24531253
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
長尾 秀夫 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80036483)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 極低出生体重児 / 医教連携 / 学習困難 / 対人関係 / 不器用 / 超早期教育支援 / ICTシステム |
Research Abstract |
平成24年度は本研究が7年目で、極低出生体重児の超早期教育・療育支援として、以下の成果を追加することができた。 1.不器用の支援モデルに関しては、6歳児で標準化されているJMAPを継続して実施し、特に片足立ちの持続時間に注目し、問題点が明らかとなった事例については、小児リハビリテーションの専門機関である子ども療育センターの理学療法・作業療法部に紹介した。そして、そのリハビリテーション施設で極低出生体重で出生した不器用な子どものグループ指導を定期的に行い、支援の成果を蓄積した。2.算数と国語の文章題の支援モデルについては、公開講座に参加した子どもに対する一斉指導による支援、また個別相談での支援を行い、担任と連携を図った。そして、子どもと保護者の希望があり、学校の了解が得られた3事例については、学校を週2~3回訪問しての学習支援も行った。その結果、個に応じた支援の工夫をすれば、極低出生体重児も算数や国語等の学習上の問題を改善できた。その成果をまとめて、現在支援モデルを作っている。3.集団参加や友人関係を促すための支援モデル作りでは、学生支援員が学校に入って休み時間を中心に支援することで、子どもの困難さを改善することができた。このやり方は、他の発達障害等で集団参加が難しい場合と同じ方法で、子どもの興味関心を大切にして、支援者と一緒に入り、少しずつ周囲の子どもを巻き込んでいく方法で学級全体への参加につながった。4.ICTを活用した支援を3例について行った。その結果は、算数の計算・文章題や国語の文章理解や作文学習等で成果が見られた。また、ICTの活用方法も共通する問題が明らかとなった。 以上の成果は、日本小児神経学会、日本発達障害学会、日本特殊教育学会などで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的である、極低出生体重児の不器用さへの支援モデル、算数の支援モデル、集団参加の困難への支援モデル、これら3点について実践の積み重ねを行い、具体的実践に基づく支援モデルを作ることができた。公開講座、研究会、学会等で発表する中で、支援モデルに関して早期の情報公開をもとめる声があった。 また、ICTを活用して、これらの支援モデルを基に遠隔地に在住の子どもの支援を行った事例を追加し、成果を上げることができた。 これらの成果のまとめを学会や研究会で発表してきたが、今後は学術論文として発表すること、早期の支援モデルの公表が課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も含めて7年間の科研費を活用しての研究の積み重ねにより、支援モデルの大枠が整った。 (1)不器用の支援モデルに関しては、平成25年度も不器用チェックリストを用いて対象児を特定し、定期的グループ指導で支援の成果を蓄積する。(2)算数と国語の文章問題に関する支援では、研究協力者による支援を学校とICTで行い、支援モデルの実践例を追加する。(3)対人関係や友人関係に関する支援は、実際に学校の場で、研究協力者が支援を行い、研究代表者が考える支援方法モデルの実践成果を示す。 研究代表者は、教育支援の内容について「教育支援の7つの工夫」に準じて調整し、時間経過を入れて具体的成果を示す実践を行ってきた。その成果を全国レベルの学会や研究会で発表し、周知と啓発を図ってきた。平成25年度も支援の実績を積み重ねて、具体的成果を基に支援モデルの改善を図る。 発表の中で、極低出生体重児の支援モデルが公表されていない現状について、具体的成果に基づく支援モデルについて詳しい情報を期待する声が多くあった。研究代表者は研究協力者の同意を得て、平成25年度中に研究成果をまとめて「極低出生体重児の超早期支援~実践の成果に基づく支援モデル~」(仮称)を作成して、関係機関に配布する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残金 1,201円は、子どもの指導の教材費として執行済みである。
|