2013 Fiscal Year Research-status Report
認知神経心理学的評価に基づく読み障害児の英語学習支援に関する実践的研究
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24531264
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石坂 郁代 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70333515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 玲子 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 臨床准教授 (70406908)
黒澤 麻美 北里大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60406890)
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Keywords | 発達性dyslexia / 英語指導 / 認知神経心理学 |
Research Abstract |
平成24年度から引き続き,以下の研究を行った。 1.中学校の名詞25単語と動詞10単語について,引き続き妥当性を検討中である。語彙の心像性・親密度等による語彙選定では,英語の綴りの長さや規則性・不規則性に統制が取れないため,どの条件を最優先するかが重要であることが明らかになった。今後,さらに語彙リストを修正していく。 データ収集については、中1は困難であることが明らかになったことから、引き続き妥当な学年を、大学生を含めて検討中である。 2.発達性dyslexiaの中2の1事例について,英語の学習指導を行った。その方法として,先に指導者が音読してその音を聞き,理解できなかった単語を抽出して日本語の意味を確認することおよび一文ずつ口頭で抄訳することで,まず内容理解をさせた。この方法が効果的であるなら、音声によるやりとりで十分に英語テキストの理解を深めることで、音読改善に効果が認められる可能性がある。 3.RAVE-Oによる英語学習は,中2の1事例で継続した。簡単な綴りであってもトップダウン処理による誤読が認められ,視覚的認識の音読への影響が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度に引き続き、中学生における英語評価の妥当な方法について検討してきた。 1.中学校におけるデータ収集は、中1ではまだ英語を習ったばかりで典型発達の生徒たちであっても綴りのミスなどが起きやすく、発達性dyslexiaのある生徒との比較は適切ではないことが明らかになった。そのため、大学生におけるデータ収集も含め、どのようなデータを収集すれば発達性dyslexiaの英語の困難さを捉えることができるかについて、英語の専門家を交えて検討中である。 2.RAVE-Oプログラムの発達性dyslexiaへの応用については、事例検討を行っている。中2の事例においては、視覚的認知の誤りに由来する音読の誤りや、haveとhasを取りちがえて読み誤るなどの学習された知識の誤用が認められている。このような誤りを細かく分析しながら、評価に有用な手立てを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.日本語話者の英語の読み書きのつまずきに関するノーマルデータの収集方法を検討する。 ①小学校の通級指導教室における発達性dyslexia児の英語の文字認識の調査②高等教育を受けている学生の中1~中3の英単語に関する達成度の調査 2.英語指導の効果研究から、発達性dyslexiaの英語評価の試案を作成する。 ①RAVE-O方式による英語指導の効果測定②RAVE-O方式による英語指導における発達性dyslexia児の誤りの分析から、英語評価に有用な情報を収集する 3.中学生の発達性dyslexiaにおける英語学習の問題点の整理検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費については、既存の物品や検査等を活用し、不要不急の物品購入を控えたため、繰越額が生じた。また、旅費については、学会出張期間の短縮、最安値のチケットの購入などに努めたため、予算時よりも実際の出額を抑えることができた。そのため、次年度に繰り越しが生じた。 次年度(最終年度)の補助金額は60万円であり,24年度,25年度より減額となる。繰越額と合算して本年度並みの金額となる。 次年度も学会発表、データ整理のための人件費(予算より超過する予定)の支出を計画している。
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