2014 Fiscal Year Annual Research Report
インクルーシブ教育システムの構築を目指す教育制度の研究ー聴覚障害児者を中心に
Project/Area Number |
24531269
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
下野 正代 朝日大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80587147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
籾山 錚吾 朝日大学, 法学部, 教授 (20110281)
杉島 正秋 朝日大学, 法学部, 教授 (90196725) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | インクルーシブ教育 / 聴覚障害 / 合理的配慮 / 遠隔情報保障 / 障害認識 / 障害受容 / 自己肯定感 / 自己効用感 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、共生教育が特に困難とされている聴覚障害児者を対象に、共生教育を阻んでいる制度的、歴史的、社会的要因を明確にした。「全米聾者教育プロジェクト」創設者である 弁護士を招聘し、米国における差別の歴史、共生教育の実態をインタビュー調査した。また、国内の特別支援教育の専門機関を共に訪問し、日米の特別支援教育を比較し、その研究成果を教育関係者や当事者を対象に講座を開催し発表をした。 2年目は、当事者を中心にインタビュー調査を行い、通常学校での経験談をもとに分析をした。必要とした支援を調査し、問題となった社会制度や社会的要因を探った。その結果、障害に関する教育関係者の理解と支援制度が不十分であり、障害理解や特別支援教育の教員研修が必要であり、教員養成課程の改善の必要性も明らかとなった。 また、長年批准が困難であった国際法「障害者人権条約」が、国内法の整備を待って、2014年1月に批准された。2016年度4月には、「障害者差別解消法」が施行され、インクルーシブ教育における合理的配慮が求められることとなった。更に、新生児スクリーニングにより、聴覚障害の早期発見、人工内耳の施術の広まりにより、今後、通常の学校に在籍する児童生徒の増加が予想される。 更に、パソコンやスマホ等の進歩により、従来、現場で手書きで行われていた要約筆記も、それらを活用することで、遠隔で行うことが可能となった。 最終年度には、通常学校に在籍する聴覚障害の中学生の学校行事と高校生の英語の授業を遠隔PC文字通訳で行った。成果は、当事者の障害認識と障害受容が高まり、自己肯定感や自己効用感に変化が生じ、進路に大きな影響を与えた。また、聴者の同級生への影響も大きく、共生教育の意義が明らかになった。検証により人件費の確保と入力者の技術や専門性の必要性が分かり、校内の物的人的資源の活用と音声認識ソフトの開発が今後の課題である。
|
Remarks |
2015年度中に研究成果を発表します。
|