2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害を持つ鍼灸マッサージ師向けのペン入力電子カルテシステムの開発・普及
Project/Area Number |
24531273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
江崎 修央 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30311038)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、鍼・灸・あん摩施術者向けのペン入力を基本とした電子カルテシステムの構築と臨床現場における電子カルテシステム利用のためのカリキュラム策定、全国への普及活動を行っている。 平成24年度に申請者は、所沢市の国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)の臨床実習を想定した施術録記録・確認システムの構築を行ってきた。すでに基本システムの導入は完了したため、平成25年度以降は、視覚障害者の就学支援として電子カルテシステムを十分に活用するためのカリキュラム編成を含め、全国の盲学校やリハビリテーションセンターへの啓蒙活動を通じて、鍼灸マッサージ施術者向け電子カルテシステムとして普及を目指していく。 平成24年度の研究・調査ではあらためて視覚障害者の文字入力方法についての問題点が浮き彫りとなった。申請者は、ペン入力を利用した電子カルテシステムの構築を目指していたが、実際のペン入力利用者の比率や将来性を考えた場合に、キーボード入力を避けては通れない状況となっている。 そこで、東京都視覚障害者支援センターなどとも提携し、タッチタイピング技術を習得する新たな仕組み作りも合わせて構築していくこととした。タッチタイピングなどのパソコン操作の習得方法について、現状では支援センターを訪れて実施する必要があるが、本当に基本的な操作法さえ習得すれば自宅からでも同様の講座を受けることができるようにする。タッチタイピングについては、ネットワーク接続されたタイピング習得ソフトウエアを新たに開発し、自宅で練習した結果が指導員へ電子メールで通知され、それに対するアドバイスを支援員から受け取ることができるようにする。 これらの基礎技術プログラムと電子カルテの利用方法について、体系立てて習得できるプログラムの開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、国リハの臨床理療現場向けの電子カルテシステムの配置に成功した。これまで開発してきたペン入力を基本とする電子カルテの入力方法のほかに、キーボード入力に対応させた機能も実装し、国リハでの予約、予診入力、問診施術録の入力・確認などが可能になった。 すべてのデータを集中的に管理するため、データベースサーバを導入し、複数の実習生が利用可能なように、約10台のパソコンに開発システムを導入した。これらの開発・導入により、国リハの施術質の業務フローを損なうことなく、必要データの記録・確認ができるようになった。 しかしながら、データの入力方法についてペン入力のみの利用者の比率が年々減少傾向にあることや、キーボード入力の利用は必須となっている現状が改めて確認されてきた。 そこで、電子カルテシステムの運用に伴うカリキュラム作成のほかにも、文字入力方法の習得のために遠隔利用可能なタッチタイピングソフトウエアの開発にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
実施すべき内容は大きく2項目となっている。 (1)遠隔支援可能なパソコンスキル獲得システムの構築 タッチタイピングをはじめとするパソコンの基本操作について、確実に習得している必要があることが改めて確認されたため、東京都視覚障害者支援センターと共同で、自宅においてもパソコンの基本操作技術が獲得可能な仕組み作りを検討する。具体的には、遠隔支援可能なタイピングソフトウエアを開発し、自宅において実施した内容を指導員がメールにて確認可能で、メールにて返事を書けば利用者へのアドバイスが可能となる。また、ワープロや表計算ソフトについても対応を検討していく。 (2)電子カルテ利用を考慮した理療師向けカリキュラムの策定 一方で、国リハにおいてパソコン操作の基本スキルを十分に備えて、鍼灸理療師の国家試験の獲得を目指す実習生に対しては、電子カルテを利用した施術録の管理方法なども含めた実習カリキュラムの構築を目指す。最終的には、全国の盲学校を始めとする鍼灸理療の指導現場で利用可能な仕組み作りを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、遠隔支援可能なタッチタイピングシステムの開発・導入のためにノートパソコンを東京都視覚障害者支援センターでの被験者実験用に複数台配置するほか、スクリーンリーダーと呼ばれる音声読み上げソフトウエアを導入する。また、インターネット環境のない利用者がいる場合は、モバイルデータ通信用のルータなどを利用して、インターネットを利用可能にする。 国リハ向けには、タブレット型のペン入力装置を追加導入して、ペン入力による操作についても複数人で同時使用できる仕組みを構築する。 旅費については、関係福祉機関との打ち合わせと被験者実験時の旅費、研究会、国際会議での研究成果の発表に用いる。 また、被験者実験における実験補助、プログラム開発支援等の謝金を予定しているほか、成果発表のための国際会議登録費、論文投稿費、成果報告書の印刷作成費に用いる。
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