2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田邊 顕一朗 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10334038)
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Keywords | 頂点代数 |
Research Abstract |
頂点代数上の加群論を継続して研究している.加群が完全可約とは限らない頂点代数の表現論においては,通常の繋絡作用素に対数項を許した対数的繋絡作用素が現れることがよく知られており,対数的共形場理論に関連して盛んに研究されている.筆者は,頂点代数の誘導加群を考察する過程で,加群自体に対数項を許したものを扱うとが自然であると考え,今年度は頂点代数V上の加群を,作用に対数項を許すように拡張した.この拡張された加群を対数項付き(V,T)加群と呼んでいる.そのボーチャーズ恒等式を求めた.また,対応するヅー代数を構成し、対数項付き(V,T)加群がそのヅー代数で制御されることを示した.より具体的には既約な対数項付き(V,T)加群と,ヅー代数の左既約加群とが1対1に対応していることを示した.この結果は,ヅーが通常の加群に対して示した結果,および筆者が以前導入した(V,T)加群に対して示した結果の自然な拡張になっている. さらに格子頂点代数に対して非自明な対数項付き(V,T)加群の例を構成した.これはハイゼンベルグ頂点代数の,通常の意味での既約でない直既約加群を格子頂点代数上に誘導したものになっている.格子頂点代数の通常の加群は全て完全可約であることが知られているが,その拡張である対数項付き加群ではそうなっていないことが興味深い.また格子頂点代数は多くの興味深い頂点代数を部分代数として持つため,この例から多くの対数項付き(V,T)加群の例を構成することが出来る.例えば中心電荷が小さなヴィラソロ頂点代数やハイゼンベル頂点代数に対して非自明な対数項付き(V,T)加群が構成出来る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頂点代数上の加群の拡張である対数項付き(V,T)加群を導入して,その性質をある程度調べることが出来た.またその具体例をたくさん構成することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
対数項付き(V,T)加群のモジュラー不変性を示し,具体例に対して指標を計算する.
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Research Products
(4 results)