2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 義久 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (20294522)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 量子群 / 結晶基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に行った研究は以下の通りである. (1) 結晶基底の幾何学的理論の代数群の表現論への応用:A型Schubert多様体に付随するD加群の特性多様体に関する研究を,昨年度に引き続き行った.特に,今年度は特性多様体と随伴多様体の関係を詳しく調べた.これにはKazhdanとLusztigによる『A型ならばWeyl群のleft cell表現とSpringer表現は,自然な基底を込みで一致するだろう』という予想に深く関係する.随伴多様体が常に既約であれば,上記の予想は正しいことが従う.ところが,2014年にWilliamsonは,A型であっても随伴多様体が既約にならない例をランク11の場合に具体的に構成して見せた.この結果に触発されて申請者は,結晶基底の幾何学的理論を用いた方法で同じ問題を調べた.その結果,KazhdanとLusztigによる予想の反例を,十分ランクが大きい場合にはいくらでも作り出せることが判った. (2) 量子座標環の表現論と量子包絡環のPBW型基底について:表題の通り,量子座標環の表現論と量子包絡環のPBW型基底の関係について研究を行った.この結果の多くの部分は昨年度すでに得られていたものであったが,今年度はいくつかの理論的整備を行った後,学術論文の形にまとめた.現在投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると考えている. (1) 代数群の表現論への応用について:昨年度までは比較的次元が小さい場合に,計算機実験によるデータ集めをしてきたが,今年度はより次元が高い場合の現象の理解へ話を進めたいと考えていた.その点,上述のWilliamsonによる反例は,我々にとって格好の材料になった.この例を詳しく解析出来たことで,また一つ理解が深まったと考えている. (2) 量子座標環の表現論に関して:昨年度に引き続き,研究を行った.量子座標環の研究は,もともと本研究計画には含まれていないものであるが,このテーマは国場-尾角-山田による可解格子模型の研究に端を発するものである.本研究課題では量子包絡環の理論の可積分系への応用を予め組み込んであり,範囲を逸脱するものではない. 以上,当初の計画通りにある程度の成果が得れたこと,計画書作成時には考えていなかった新しい応用が得られたことの2点を鑑み,研究はおおむね順調に進んでいるものと判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
各テーマ毎に分けて記述する. (1) アフィン型Mirkovic-Vilonen凸多面体の理論との関係:これは昨年度の研究推進方策の中でも述べた事柄である.現状では,まだ論文の形にまとめるほどの成果を出すには至っていないが,引き続き研究を行っていきたい. (2) 代数群の表現論との関係:上述の反例の解析をより詳しく行いたい.また,これまでに集めたデータに基づき,いくつかの予想をたてた.今年度はこれらの証明を与えるべく,研究を行って行きたい.
|
Research Products
(3 results)