2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 聡 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60252160)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶基底 |
Research Abstract |
(nontwisted な) アフィン・リー環に付随する量子群 (アフィン量子群) の最も基本的な有限次元表現であるレベル・ゼロ基本表現及びそれらのテンソル積表現 (これらは、ある特殊なスペクトル・パラメーターを持つ標準加群に他ならない) の持つ結晶基底が、(アフィン・ワイル群の標準的有限部分群である) 有限ワイル群に付随する量子 Bruhat グラフの言葉によって "量子 Lakshmibai-Seshadri (LS) パス" の全体として明示的に記述される事を証明した。 そして、この事を用いて、nontwisted なアフィン・ルート系に対応する (対称) Macdonald 多項式の 2 つのパラメーターである q と t のうち t に対して t = 0 と特殊化したものが、量子 LS パス のウエイトの (可解格子模型の研究において導入されたエネルギー関数による重み付きの) 母関数に一致することを証明した。 さらに、このエネルギー関数そのものについても、量子 Bruhat グラフの言葉による明示的な記述を与える事ができた。 また、(非対称) Macdonald 多項式の t = 0 による特殊化についても、量子 LS パスの "initial direction" に関する制限条件を付け加える事によって、やはり量子 LS パスのウエイトの (重み付き) 母関数として書き表される事を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフィン量子群のレベル・ゼロ基本表現及びそれらのテンソル積表現の結晶基底に対して、有限ワイル群に付随する量子 Bruhat グラフの言葉によって非常に明示的な記述を与える事ができたのは、本研究の目的の達成への重要な進展であると考えている。 一方、有限ワイル群に付随する量子 Bruhat グラフとアフィン・ワイル群上の "generic" Bruhat 順序との間には、実は極めて密接な関係がある (つまり、ほとんど同値な概念であると言える) 事が知られている。 そして、アフィン・ワイル群上の generic Bruhat 順序には、Feigin-Finkelberg-Kuznetsov-Mirkovic (FFKM) により、有限ワイル群上の通常の Bruhat 順序の場合の類似として (semi-infinite 旗多様体の中の) "quasimaps" の空間の Schubert stratification を用いた幾何学的な意味付けが得られている。 これらの事から、レベル・ゼロ基本表現及びそれらのテンソル積表現の結晶基底に対して、有限次元半単純リー環の有限次元既約最高ウエイト表現の場合の結果の類似として、(通常のアフィン・グラスマン多様体ではなく、Beilinson-Drinfeld グラスマン多様体を経由して) semi-infinite 旗多様体の Mirkovic-Vilonen 型の有限次元部分代数多様体族による幾何学的実現が可能ではないかと強く期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
有限次元半単純リー環の有限次元既約最高ウエイト表現の結晶基底は、アフィン・グラスマン多様体の中の Mirkovic-Vilonen サイクルと呼ばれる有限次元部分代数多様体族によって幾何学的に実現される事が知られている (これは、いわゆる幾何学的佐武同型の精密化とみなす事ができる)。 この結果の類似として、上記の Feigin-Finkelberg-Kuznetsov-Mirkovic (FFKM) の論文における semi-infinite 旗多様体とその中の quasimaps の空間の Schubert stratification を用いて、アフィン量子群のレベル・ゼロ基本表現及びそれらのテンソル積表現の結晶基底を、(通常のアフィン・グラスマン多様体ではなく、Beilinson-Drinfeld グラスマン多様体を介して) semi-infinite 旗多様体のある種の有限次元部分代数多様体族によって幾何学的に実現したいと考えている。 それには、先ず FFKM の論文 (この論文は、厳密に証明されていない主張を少なからず含んでいる) を深く理解し、そしてさらにその内容を精密化する必要があると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(6 results)