2012 Fiscal Year Research-status Report
ガロア表現の変形空間の幾何、p進ホッヂ理論とラングランズ双対性
Project/Area Number |
24540018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 正大 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90346065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 智 東京大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30372577)
平之内 俊郎 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30532551)
田口 雄一郎 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90231399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ガロア表現 / p進ホッジ理論 |
Research Abstract |
研究代表者の安田は次の研究を行った山下剛氏(豊田中研)と共同で, p進数体の2次元 2のクリスタリン表現の法 p還元の計算を, ホッジ・テイト重さの差が (p^2 -1)/2 の場合に、わずかな例外を除いて完成させた. さらに, 研究代表者の安田と研究分担者の近藤は、p進体あるいは有限アデール上の GL_d の表現について, 以前確立していた層の理論を用いた定式化を見直し, トポスの理論を用いたより根源的な定式化を得た. また研究代表者の安田は, 次年度以降の研究に備え, 中村健太郎氏との研究打ち合わせを通じてp進表現の理論の最新の状況についての理解を深め, 位相的保型形式に関する研究集会を主催し, 無限圏に関する基礎技術の習得に努めた. 研究分担者の田口は次の研究を行った:(1) 局所体上のアーベル多様体の、大きい拡大体上の有理的捻じれ点の有限性についての「今井の定理」を p進Hodge理論的手法で一般化し,岩澤理論に応用した. (2) 代数体の l進表現について「法lで合同なら, ある素点で局所的に同型か?」という問題を考察し、Rasmussen-玉川予想の「半安定の場合」に応用した. (3) 固有保型形式のヘッケ体が一つのフーリエ係数 a_p で生成される様な素数 p の密度が, 適当な条件の下 1 になる事が知られているが, これをガロア表現の言葉で一般化する研究を行った. 研究分担者の平之内は, 主に代数群に付随するミルナー型K群を対象に研究を行った. 更に特別な代数群をとったときのケーラー微分加群やミルナーK群, 及び加法的チャウ群との関係を調べることができた.また完全体上の曲線の積に対する一般アルバネーゼ多様体との関係や(分岐を許した)高次元類体論への応用についても研究した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元クリスタリン表現に関する変形環の記述については研究を進めることができたが, 幾何学的な立場からの解釈に関しては不十分なままにとどまっている. また, 最近発展の著しいp進局所ラングランズ対応に関する最新の知見を補充する予定であったが, 筆者の理解はまだ完全なものに至っていない. 得られた成果を論文にまとめる作業も遅れている. 研究の進展が遅れた理由としては, 当該年度より申請者の所属が変わったことにより, 申請者自身の研究に加え, 所属する学生に対する, この研究と関係の少ない内容の指導, 及び基礎的な教育に力を注ぐ必要になるなど, 研究環境が変化したことに加え, 申請者の以前の研究成果に関する論文について, 内容の大幅な補充を含む手直しをする必要に迫られ, 研究のための時間が物理的に確保できなかったことが大きい. ただし, 中村健太郎氏との打ち合わせを通じ, L 関数の特殊値に関する予想の岩澤理論の方向への一般化において重要な役割を果たす p 進ε元の構成について, 今後重要となりそうなアイデアが得られるなど, 予期せぬ方向への進展もあった. これは現在のところただのアイディアにとどまっているが, 次年度以降の本研究の推進にに役立つと期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
山下剛氏と共同で, p進数体の2次元 2のクリスタリン表現の法 p還元の計算について, 本年度の研究でやり残した例外的な場合を完全に解決し, 幾何学的な立場から解釈を与える. 時間的余裕があればその解釈を用いて高次元の場合に結果を一般化する. また中村健太郎氏と打ち合わせを通じ, p 進ε元の構成についての研究を進める. 次年度使用額がわずかであるため, これらの研究の大半を, 研究代表者のパソコンを用いた計算・執筆, およびインターネットを通じた研究連絡で行うことによって, 費用の節約を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が山下剛氏と共同で行っている p進数体の2次元 2のクリスタリン表現の法 p還元の計算について, 残った例外的な場合を完全に解決し論文にまとめ, さらに幾何学的な立場から解釈を与える. これらの結果について, フォンテーヌ・ラファイユ理論の整係数化という視点から解釈を与える. 時間的余裕があればその解釈を用いて高次元の場合に結果を一般化する. さらに p 進ホッジ理論におけるもっとも重要な定理である比較定理について, 主張の精密化を可能な限り行い成果を論文にまとめる. 中村健太郎氏と打ち合わせを通じ, p 進ε元の構成についての研究を2次元の場合に進め, ジャッケ・ラングランズの局所理論のp進係数類似への研究の足掛かりとする.
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