2012 Fiscal Year Research-status Report
次数2のジーゲル保型形式に対するフーリエ・ヤコビ型球関数の研究とその応用
Project/Area Number |
24540022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平野 幹 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80314946)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フーリエ・ヤコビ型球関数 / フーリエ・ヤコビ展開 / 保型L-関数 / ジーゲル保型形式 |
Research Abstract |
今年度は、次数2のジーゲル保型形式に対するフーリエ・ヤコビ展開と関連する特殊関数である、次数3の複素一般線形群 GL(3,C) のクラス1でない主系列表現に対するホイッタカー関数の保型形式論への応用について研究を行い、特に保型 L -関数に関連したゼータ積分について昨年度までの結果に基づいて、ゼータ積分の明示評価が困難である場合についての知見を深めた フーリエ・ヤコビ展開に必要な特殊関数であるフーリエ・ヤコビ型球関数の理論については依然として未完であるが、これまでに様々な一般球関数についての類似研究を進め、一定の成果を上げてきた。今年度の成果はこれまでに得られた類似研究の成果の応用であり、フーリエ・ヤコビ型球関数の理論とも関連が深く意義がある。今年度はホイッタカー関数の明示公式、およびこの明示公式を活用した GL(3) × GL(1) および GL(3) × GL(2) に対するアルキメディアンゼータ積分についての昨年度までの成果に基づいて、GL(3) × GL(2) に対するアルキメディアンゼータ積分の明示評価が困難である状況についての基礎的考察を行った。得られた成果はゼータ積分が消えないような適当なベクトルが GL(3) および GL(2) の主系列表現の極小 K -typeから取れない場合の複素素点におけるゼータ積分の評価についての予備的考察である。一般の場合の評価は GL(3) × GL(1) の場合と同様に困難を極めるが、次に取り組むべき今後の課題であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に挙げたフーリエ・ヤコビ型球関数についての直接の成果ではないが、類似の特殊関数であるホイッタカー関数とその応用について、部分的ではあるが一定の成果および問題の困難さについての多くの知見が得られたことにより、研究は順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もフーリエ・ヤコビ型球関数とその応用について、直接的もしくは間接的に考察を進め、新たな知見を獲得しつつ問題の困難さを徐々に克服していくのが正しい方針であると信じる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究実施にあたり、理想的でない状況におけるゼータ積分の計算の予備的考察に想定以上の時間を費やしたため、知見を深めることはできたものの、他の専門家との意見交換や学会における発表の機会を次年度以降に繰り越すこととなった。次年度においては部分的であってもその知見をまとめ、意見交換等によって研究を進展させる予定である。
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