2013 Fiscal Year Research-status Report
相対差集合及び関係する difference matrix の研究
Project/Area Number |
24540023
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平峰 豊 熊本大学, 教育学部, 教授 (30116173)
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Keywords | difference matrix / 相対差集合 / 有限群 / 一般アダマール行列 / デザイン |
Research Abstract |
25年度は difference matrix の行数のパラメータ kの限界についてさらに研究を進めた.現在のところ,difference matrix については,与えられた比較的小さな u, λに対して行数 kはk≦uλという不等式知られていて,uやλが素数冪であるときはk=uλのもの(一般アダマール行列 GH(uλ)とよばれる)も数多く構成されている.しかしu,λを与えたときにkの限界がどこにあるか解明されていない.25年度はkの値が限界であるuλ-1のときについて研究した.実際に原始q乗根ζが生成する位数qの乗法群S=<ζ>の元を成分とするm次のButson Hadamard行列B=BH(m,q) (BB*=mI, B*はBの随伴行列, Iはm次単位行列)に対して,この研究ではnear Butson Hadamard行列として(m-1)×m行列C=NBH(m,q)(CC*=mJ, Jはm-1次単位行列)を定義して考察した.まず,このNBH(m,q)についてこれがもう1行追加して正方行列,すなわちBH(m,q)に拡大可能かについて調べて次を得た. 定理1.qを素数pの累乗とするとき任意のNBH(m,q)はBH(n,q)に拡大可能である. 群が素数pの累乗の可換p群のときはこの定理の結果をアーベル群の指標を利用することによりH25年度の目標の一つとしていた次の結果を得た. 定理2.qを素数pの累乗で,Gを位数qのアーベル群とする.このとき群G上の 任意の(q,qλ-1,λ)-difference matrix はGH(q,λ) に拡大可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究計画であった位数uの群U上のGH(u,λ)行列を中心とする(u,k,λ)-difference matrixについて,パラメータkの限界はk≦uλで与えられることが知られているが,当然考えるべき極大状態k=uλ-1のときが分かっていなかった.一般にdifference matrixにおいてはuは素数べきのものだけが知られていて,かつ素数べきであろうという大きな予想も知られているのでこの研究では極大uが素数べきという条件のもとで(u,uλ-1,λ)-difference matrixの存在問題について考察を行った.完全な解決とはいえないが,有限群アーベル群であるという付加条件のもとで非存在を決定できた.非可換p-群の場合が残ったとはいえ,この観点からおおむね順調に成果を得たと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は (u,k,λ)difference matrix のパラメータ kの限界についてさらに研究を進める.位数uの群が基本可換p-群のときを中心に研究したい.λを与えてk=uλが可能かどうかが未決定のλが大部分であるが,このようなλについてkの限界と及び より大きなkの構成について研究を行う.方法の一つとして,群Uはが基本可換p-群であるからu=q (pべき)とおいて加法群(GF(q),+)とみなすことができる. 従ってGF(q)の乗法群(GF(q)-{0},x)の利用が重要となると考える.従ってλがq-1の約数の場合に注目して,GF(q)からGF(q)への関数を考えてそれが構成につながるものを考察する.知られている実例をもとにそれを一般化して無限系列を構成したい.
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