2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540027
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
谷口 健二 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20306492)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 標準 Whittaker (g,K)-加群 / 主系列表現の組成列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実簡約型リー群の標準 Whittaker (g,K)-加群の構造,特に組成列の決定問題を主目的としている.平成26年度は前年度までに引き続き,具体例の構成に主眼を置き,低階数の群,特に SL(3,R) について,標準 Whittaker (g,K)-加群の構造を調べ,この群の場合については組成列を完全に決定した. 本年度の研究の過程で,一般の群の場合に適用できる手法をいくつか開発した.その一つ目はtranslation functor による振る舞いである.本研究開始当初から,群が split なら標準 Whittaker (g,K)-加群を translation functor で動かすと,別の標準 Whittaker (g,K)-加群と同型になることを予想していたが,SL(n,R) や Sp(n,R) を含むあるクラスではこれが正しいことを示した.二つ目は,確定特異点型偏微分方程式系の境界値問題の活用である.これは松本久義氏の研究(Duke Math. J. 53 (1986), no.3, 635-676)で既に使われていたが,今回 SL(3,R) の場合に用いると,組成列の順序をかなりの精度で確定できることがわかった.この手法は一般の split 群に対しても適用可能と考えられ,本研究の大きな進展につながると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成25年度までに具体例の構成を行い,平成26年度以降は一般的な状況下で標準 Whittaker (g,K)-加群の組成列を決定する予定であった.昨年度までは少々遅れ気味であったが,26年度に SL(3,R) について具体例が構成でき,その際に用いた確定特異点型偏微分方程式系の境界値問題を用いる手法は,一般の群の場合の研究に非常に有効に働くものであると考えている.そのため,当初予定していた方針とは多少異なるものの,最終目標である,一般の群に対する標準 Whittaker (g,K)-加群の組成列の決定に対しては,概ね順調に研究が進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究で得られた手法や結果は,今後の研究に大きな進展をもたらすものであった.まず第一に,SL(3,R) の場合に用いた,確定特異点型偏微分方程式系の境界値問題を使う方法は,一般の split 群に対しても適用可能である.第二に,実階数2の群である SL(3,R) の場合に,緩増加関数と確定特異点における境界値との対応が得られたので,一般の split 群に対しても,階数2の部分群へ帰着することにより,組成列の情報を引き出すことができると考えられる. 以上の経緯を踏まえ,今年度は,まず実階数2の split 群について,SL(3,R) で成功した緩増加関数と確定特異点における境界値との対応を確立し,その上で一般の split 群について,階数2のへの帰着により,標準 Whittaker (g,K)-加群の組成列を完全に決定する予定である.
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Research Products
(4 results)