2013 Fiscal Year Research-status Report
偏極多様体の多重随伴束の大域切断のなす次元についての研究
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24540043
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福間 慶明 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (20301319)
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Keywords | 代数学 / 偏極多様体 / 準偏極多様体 / 豊富な因子 / nefかつbigな因子 / 随伴束 / 断面不変量 |
Research Abstract |
Xを複素数体上定義されたn次元非特異射影多様体, LをX上の豊富な因子(nefかつbigな因子)とする. この時これらの組(X,L)を偏極多様体(準偏極多様体)と呼ぶ. 本研究の主目的は随伴束K+Lがnef (もしくは随伴束の飯高次元が非負)となる任意の偏極多様体に対して随伴束のm階テンソルm(K+L)の大域切断のなす次元が正となるmの値の最小値 (随伴束がnefのときはこの値をm(n)とおき、随伴束の飯高次元が非負のときはこの値をp(n)とおく) を調べることである (ただしKはXの標準因子). 本研究を行う手段として, 偏極多様体の不変量を用いた立場からの研究を主に行っている. 本年度の研究実績として次があげられる. 多重随伴束の大域切断の次元を求める際に必要となる多重準偏極多様体の不変量の研究の一つとして, 多重準偏極多様体の断面種数の非負性について研究し, その証明を与えた. また3次元非特異射影多様体に対して多重準偏極多様体の断面種数の値が0となる場合の分類を与えた. また4次元の偏極多様体に対する随伴束の大域切断の次元に関する研究に必要な第2断面幾何種数の考察などを行った. 具体的にはある種の条件のもと第2断面幾何種数が代数多様体の不正則数以上となるかについて調べている. 本年度の研究の結果、これに関してはいくつかの場合を除いて成り立つことを証明することができた. また上記以外で偏極多様体の不変量に関する研究(第2断面Betti数と断面種数に関する研究)についても昨年度行ったが、その研究成果が正式に審査付き学術論文として発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究成果を見ると, 4次元偏極多様体の随伴束の大域切断の次元について目標としている結果は出ていないが,考察の際に必要となる第2断面幾何種数の研究をはじめ,n次元準偏極多様体に対するm(n)の上限など, 随伴束の大域切断の次元に関する考察は着実に進展しており,今後の成果が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 4次元偏極多様体の場合、平成24年度、平成25年度に研究していた随伴束の飯高次元が3の場合にm(K+L)の大域切断のなす次元が正となるmの値の最小値が1となるかについてさらに調べる. その際に必要となる4次元偏極多様体の第2断面幾何種数の性質についてさらに詳しく考察する.また4次元偏極多様体の随伴束の大域切断の次元について、m(K+L)のタイプ以外の他の様々な問題について考察をする. 2. n次元準偏極多様体に対して平成24年度に求めたm(n)の上限を改良することを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の残り金額が少なかったため必要な物品等を購入することができず, 次年度に繰り越した. 次年度の使用計画は以下のものである. 出張時に電子メール等の使用ができるようにルーター端末をおよそ10万円で購入する. 代数幾何関係の図書が年々多く出ているのでその購入のため20万円ほどを使用する. 研究成果の旅費として40万円, 調査研究旅費として50万円を使用する. また消耗品として10万円を使用することを計画している.
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Research Products
(3 results)