2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540045
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上野 健爾 首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (40011655)
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Keywords | 位相的場の理論 / 共形場理論 / モジュラー函手 / 共形場ブロック / 射影的平坦接続 / 曲線の退化 / 重複ファイバー |
Research Abstract |
本年度はゲージ群がsl(n,C)の場合の共形場理論から作られる位相的場の理論の構造についての論文の再検討を行った。従来の議論ではモジュラー圏をスケイン理論から構成するBlanchetの議論を直接使っていたが、Hecke代数の表現に関するGNS構成を使ってBlanchetの理論を書き換えることに成功した。このことによって共形場理論から構成されるモジュラー函手と一般の位相的場の理論との関係が見やすくなり、これまで複雑な議論を重ねてゲージ群がsl(n,C)の場合に共形場理論から構成した位相的場の理論がReshethikin-Turaevの位相的場の理論と一致することの証明を行ってきたが、証明を見通しよい形に書き直すことが可能になった。この結果はプレプリントにして発表し、雑誌に投稿中である。また超楕円曲線の族の場合に共形場ブロック束の射影的平坦接続を具体的に記述することを試み、部分的に解決した。以上はJoergen E. Andersenとの共同研究である。 曲線の退化に関しては、正標数の重複ファイバーに関する研究を継続し、種数2の場合に重複ファイバーを構成する一般的方法を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Blanchetの理論をHecke代数の表現のGNS 構成を使って書き換えることに成功し、GNS構成法が理論展開にきわめて有効であることが分かり、今後の展開の基礎となることが明白になった。また、超楕円曲線の場合に共形場ブロックに関してTUY理論の構成とベクトル束のモジュライ理論を使った構成との関係を詳しく調べることにより、共形場ブロックの二つの異なる観点からの取り扱いを明確にすることができ、今後の研究の基礎が確立した。 さらに曲線の退化に関して正標数での重複ファイバーの一構成法を見いだしたことにより、多数の重複ファイバーの構成が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
超楕円曲線の族の場合の共形場ブロック束の接続に関してその記述法の研究を継続して行い、とくに共形場ブロックのユニタリ内積の具体的な表現を見いだす研究を継続する。 また正標数の曲線の場合標数0の場合には持ち得ない自己同型をもつ曲線が存在する。この場合に退化と自己同型の関係を調べ、正標数での特有な現象の解明を行う。
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