2013 Fiscal Year Research-status Report
強いレフシェッツ性を有するゼロ次元ゴレンスタイン環
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24540050
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡邊 純三 東海大学, 理学部, 教授 (40022727)
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Keywords | アルティン環 / コホモロジー環 / 強いレフシェッツ条件 / ヒルベルト関数 / 完全交叉環 / 有限半順序集合 / 平坦拡大定理 / 不変式部分環 |
Research Abstract |
レフシェッツ性問題との関連において「completely m-fullイデアルとcomponentwise linear イデアルのクラスは無限体上で一致する」という意外な結果を得た。Illinois J. Math.に発表した論文では、正標数の場合、ある仮定の下で、その同値性を示したが、今回はその仮定を除くことができた。また、有限体上では反例があることを示した。応用として、U. NagelとT. Romerらの結果であるcomponentwise linear Gorensteinイデアルの構造定理の別証明を与えた。これらの成果は、論文にまとめ現在専門誌に投稿中である。また、投稿していたレクチャーノートの校正作業を6月に終え、シュプリンガーから2013年8月末に出版された。これは張間氏他5名との共著である。今後のレフシェッツ性問題の研究に大いに役立つはずだ。さらに、3変数でRees性を有するがm-fullではないモノミアルイデアルを体系的に構成する方法を与えた。これは、村井聡、J. Migliore U. Nagel, M-R. Miro-Roig らとの共著の論文として、Archiv Math. に投稿し、すでに印刷までされている。 また、1876年に書かれた、Gordan-Noetherの論文("Ueber die algebraischen Formen, deren Hesse'sche Determinante identisch verschwindet")の解読に成功し、東海大学の紀要に論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「完全交叉は、すべて強いレフシェッツ性をもつ」という予想を一般的に証明することは極めて困難な問題である。しかし、平坦拡大定理・部分環定理などの応用範囲が次第に広がり、完全交叉の強いレフシェッツ性予想は現在では疑う余地がないと言って良い。この意味では、現在の達成度は十分満足できる。また、張間氏らとのこれまで10年間の研究成果をまとめた本“The Lefschetz properties”もシュプリンガーのレクチャーノートとして出版され、このことからも現在の達成度は十分満足できるものである。また、多くの研究者の注意を引き始めたことも強調したい。
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Strategy for Future Research Activity |
張間氏との共同研究を推進する:池田ひでみ氏の論文(1996, Adv. Math. 124,The upper bound of the Dilworth number and the Rees number of Noetherian local rings with a Hilbert function)で明らかになった通り、生成元を2次式に限ると、完全交叉で強いレフシェッツ性を有するアルティン完全交叉環の 1-パラメータ族が構成される。また、一般化された鏡映変換による不変式部分環が完全交叉であるという定理が後藤四郎氏によって証明されている。この二つから、強いレフシェッツ性をもつ完全交叉の例を大量に構成することができる。今後の研究は、(1)生成元として2次式に限る、(2)対称群が作用するアルティン環を扱う、ことを考えている。さらに(3)その高次元化をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年4月から7月まで、英文による講義録の最終校正の仕事があり、この期間は、研究が進みませんでした。また、20名程度の、国際研究集会を2015年3月にゲッティンゲン大学にて、再度開催する計画を進めています。このとき、海外より若手研究者を招待したいのでそのための旅費として使用する金額を確保するためです。 2015年3月4日より8日まで、ゲッティンゲン大学にて、ゴレンスタイン環の強いレフシェッツ性に関する国際研究集会を、米国ノースイースタン大学のA. Iarrobino氏、独逸ゲッティンゲン大学のL. Smith氏等と開催する準備をすすめています。このとき、数名の若手研究者の旅費として使用する計画です。
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[Book] The Lefschetz Properties2013
Author(s)
Harima, Tadahito; Maeno, Toshiaki; Morita, Hideaki; Numata, Yasuhide; Wachi, Akihito; Watanabe, Junzo.
Total Pages
250
Publisher
Springer