2014 Fiscal Year Annual Research Report
強いレフシェッツ性を有するゼロ次元ゴレンスタイン環
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24540050
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡邊 純三 東海大学, 理学部, 教授 (40022727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルティン可換環 / 強いレフシェッツ条件 / 弱いレフシェッツ条件 / Sperner 理論 / コホモロジー環 / 平坦拡大定理 / 部分環定理 / Tolgiatti Theorem |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、2編の論文を完成し専門誌に掲載された.過去3年間に完成し専門誌に掲載された論文は6編であり、この中で最も顕著な成果は J. Herzog 氏らの定義した、"componentwise linear ideal" と呼ばれる概念が、実は、渡辺の定義した "completely m-full ideal" という概念と同等であることを証明したことである.この2つの概念は全く異なった動機で定義されていたのであり、その2つが同等であることが判明したという意味で、極めて興味深い結果である.本研究の主題である「強いレフシェッツ条件を有する0次元ゴレンスタイン環」と、一見無関係に思えるのだが、実は密接に関連している.このことは、イリノイ・ジャーナルに掲載された論文において詳しく解説した. もう一つ特筆すべき結果は、U. Nagel 等5名の共著論文で、Rees Property を持つが m-full ではないイデアルの例が3変数で大量に存在することを解明したことである.この結果により、30年来の懸案事項の1つが解決した.いずれの成果も、多くの研究協力者との研究会・研究打ち合わせ会における、意見・情報交換に負うている. 2012年 9 月の米国・ホノルルにおける国際研究会に引き続き、2015 年 3 月には、独ゲッティンゲン大学にて国際研究会を開催した.この研究会で異なる分野からの多数の研究者と意見交換することができ、将来の研究に大いに参考になった.この研究会の後続として、カナダ数学会が後援する BIRS の2016年のリサーチ・ステーションに採択(Banffにて1週間)されたことも、一連の研究成果が評価されたことの証であると考えられる.2013 年には、過去 10 年間の研究成果をまとめて、講義録の形で(渡辺他5名との共著者と共に)独シュプリンガー出版社から出版した.
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