2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 教授 (90205188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Cox環 / 因子類群 / 標準加群 |
Research Abstract |
Cox環のようなZ~n型の次数環に関しては、その因子類群や標準加群の記述に関して様々な研究がある。ここでは、N~n型の次数環に関して、因子類群や標準加群の記述を行った。次数半群N~nの境界で定義される因子だけZ~n型の次数環とは違った結果が出てきた。 Gorenstein 孤立商特異点は、次元が奇素数であれば巡回商特異点であることを証明することに成功した。つまり、「奇素数 n に対して、SL(n,C) の有限部分群 G で単位行列以外の G の元は固有値 1 を持たないとき、G は巡回群である」を示した。 超曲面孤立特異点上の二つの有限生成加群のtor_iは、i が十分大きいときは長さ有限であるし(孤立特異点だから)長さは i に関して周期2になる(matrix factorization より)。 Hochster は、その偶数番目と奇数番目の長さの差をテータ不変量と呼び、それを研究した。この論文では、そのテータ不変量は、Grothendieck 群上での数値的同値の同値類上では定数になることを示した。このことから、例えば、テータ不変量の計算によって、3次元の孤立超曲面がUFDでなければ、因子類群はtorsion-freeであり、そこでは必ずDutta-Hochster-MagLauglin型の反例が構成可能であることを証明した。Grothendieck 群やChow群を数値的同値で割ると有限生成の格子が得られる。それに、実数体をテンソルして有限次元ベクトル空間を考える。このことによって、ここで収束・発散などが議論できる。そのベクトル空間の中で、極大コーエン・マコーレー加群の張る錐を考える。この論文では、コーエン・マコーレー錐の基本性質を調べた。応用として、様々なHilbert-Kunz 関数の例を構成することに成功した。そのような例が存在するかどうかは、知られていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
永田予想というのは、ある曲面のCox環の性質であると言える。Cox環のようなZ~n型の次数環に関しては、その因子類群や標準加群の記述に関して様々な研究がある。今年度は、N~n型の次数環に関して、因子類群や標準加群の記述を行った。次数半群N~nの境界で定義される因子分だけZ~n型の次数環とは違った結果が出てきた。当初の研究計画の予定と比べると、ほんの少しだけ一般論に偏った結果であると言うこともできる。しかし、これ自身は十分納得のゆく結果であり、目標の永田予想とも深く関係があるわけで、非常に満足できるものである。 昨年度は、予定していた海外研究が、所属学科の事情で行うことができず、そのために約50万円を繰り越すことになった。その海外研究は、今年度に行うことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請書の研究計画に書いたテーマIに関しては、順調に研究が進んでおり、今年度にある程度、結果が出ると思っている。これを進めてゆきたい。テーマIIとテーマIIIに関しては、最初からあまり期待していなかったが、やはり、相当難解な問題であることがわかってきている。今年度は、テーマIに集中して研究を続けてゆきたい。 それとは別に、正標数のCox環に関しては、F-特異点理論の観点から、全体像を再構成する必要があると感じている。それは、永田予想に繋がることなので、研究を進めてゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、予定していた海外研究が、所属学科の事情で行うことができず、そのために約50万円を繰り越すことになった。今年度は、少なくとも2回の海外研究を行うことは決まっている。可能であれば(所属学科の事情が許せば)、3回目も実行したい。研究発表によって、現在までに得られた研究に関してレビューを受け、さらに様々な情報を集めたい。 F-特異点の観点から理論を再構成する必要があり、国内のその方面の研究者と密接に連絡を取り合うことが必要であると言える。そのための国内出張と招聘に研究資金を使いたい。 今年度は、コンピューターなどの機器類を購入する必要はない。 論文を完成させるために、定期的にTeX入力ができる人材(研究室の大学院生等)に資料整理と論文作成をお願いして謝金を支払う予定である。
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[Presentation] MCM加群で張られる錐2012
Author(s)
藏野和彦
Organizer
第 34 回可換環論シンポジウム
Place of Presentation
IPC 生産性国際交流センター (葉山)
Year and Date
20121122-20121126
Invited
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