2014 Fiscal Year Research-status Report
有限体上の代数曲線論とその応用としての符号・有限幾何
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24540056
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
本間 正明 神奈川大学, 理学部, 教授 (80145523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 平面曲線 / 有限体 / 国際情報交換(韓国) |
Outline of Annual Research Achievements |
有限体上の3次元射影空間曲面の有理点の個数について, elementary boundと名付けた不等式の等号を到達する曲面の幾何を研究する中で,その曲面に乗る直線について新しい知見を得た.そのq元体上定義された直線の本数は,曲面の次数 d を固定した場合 ((d-1)q+1)d で押さえれ,それを到達する曲面は,先に述べた有理点についてのelementary boundを到達するものに一致する.しかし,この結果のみで,雑誌論文として発表するのはやや憚られる思いもあり,arXivに掲示するに止めてある. 一方,一般にn次元射影空間内の超曲面が,その有限体上定義された直線を全く含まない場合には,有理点の個数について,もっと良い評価が得られることを示すことができた.これは,次元nについての帰納法によって平面曲線の場合に帰着させるのであるが,Sziklai bound で例外の曲線が現われているため,その処理に工夫を要した,Contemporary Mathematics に印刷発表した. 上に述べたような「直線を多く含む場合」,「直線を全く含まない場合」の考察は,超曲面の幾何を考える場合に,それが含む線形多様体を調べることが重要な手がかりとなることを示唆する.今後この方向での研究を展開することも考えたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の実績報告書において,有限体上の3次元射影空間曲面の有理点の個数について, elementary boundと名付けた不等式が証明できたことは述べた.さらにその等号を到達する可能な次数が,今年度の研究で決定され,それらの分類にまで足を踏み入れた.その分類の途上で小さな「見落とし」に気づき,その修正に追われたことにより,やや,研究の進展が遅れた.
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた,小さな「見落とし」はこの間の研究によりgapを埋めることが可能な見通しである.これについて,もう少し深く,春休みの間に,共同研究者の Seon Jeong Kim教授と討論する予定であったが,私の学事多忙のため時間的制約を受け完成に至らなかった.そのため,補助事業の延長を申請し承認されたので,2015年度中に訪韓し詰めの議論を行いたい. また,「実績の概要」の項で述べた「超曲面の幾何をそれが含む線形多様体によって調べる」ことを時間の許す限り行いたい.
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Causes of Carryover |
3次元射影空間にある代数曲面の有理点の個数の上限についての研究中に,この上限を到達する曲面と多くの直線を乗せる曲面とに深い関係があることを,海外共同研究者 Seon Jeong Kim との研究の中で見出した.その詰めのため,当方の春季休業中に韓国で長期の共同研究を行う予定で経費を留保しておいたが,本間の学事多忙のため実施が困難になり,完成が難しい状況になった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏季休業中に,時間を確保し韓国を訪問し,Seon Jeong Kim教授や彼の学生などの協力を得,研究の完成に向けて努力する.その為の旅費として使用する.
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Research Products
(4 results)