2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諏訪 立雄 北海道大学, ー, 名誉教授 (40109418)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幾何学 / 複素解析幾何 / 特性類の局所化 / 留数 / 特異多様体 |
Research Abstract |
1. ベクトル束の準同型写像の退化: これに関しては, 所謂 Thom-Porteous の公式がある. これは現在 ambient 多様体のホモロジーの中で表せられているが, 本来退化集合に局所化されるべきものである. これを Chern 類の Schur 多項式の局所化を構成することにより行うのが平成24年度の研究実施計画の一つであった. これには本研究代表者が永年行って来た Cech-de Rham コホモロジーに適合させた Chern-Weil 理論による特性類の局所化理論を用いるのであるが, 一般には準同型写像の退化集合による層化は複雑でそのままでは困難がともなう. しかし, "tautological な" 準同型写像を考えると, その層化は良い性質を持ち, 上記理論が極めて有効で, 求める局所化を構成することが出来た. さらにこの構成の良い点は, これが普遍的局所化, つまり一般の準同型写像に対する局所化はすべてこれから引戻して得られることである. これは Thom 類の大幅な一般化で様々な応用も持つと思われる. これは北海道大学の大本 亨との共同研究として行われた. 2. Baum-Bott-Lefschetz 不動点定理 : これに関しては, イタリア, ローマ大学 F. Bracci, フェッラーラ大学 C. Bisi, 北海道工業大学 伊澤 毅 との共同研究で準備的考察を行い, 問題点を整理し若干の結果を得ることが出来た. 3. 留数としての GSV-指数 : 特異多様体上のベクトル場に関しては多くの研究が行われており, その特異点における種々の指数が定義されていた. これに関し, 本研究代表者の留数理論より新たな指数を導入し, それが GSV-指数, さらに仮想指数と一致することを示し, これら既存の指数に対する新しい明示的公式を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベクトル束の準同型写像の退化に関しては普遍的局所化の構成に成功し, 満足すべき結果が得られた. またこの方面への将来の展望が開けた. Baum-Bott-Lefschetz 不動点定理に関しては問題の本質が多変数関数論の深い問題と関わっていることが判明し, 将来研究すべき極めて興味深い問題意識が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究を継続し, さらに次のような課題につき研究を行う : 1. 交叉理論: Chern 類の留数は枠の特異点集合のホモロジー類として定められる. 特異点集合の次元が “期待されたもの” である場合には今までの研究で満足出来る成果が得られ, その結果交叉理論でも交叉の次元が期待されたものである場合には明示的公式が得られた. 次に特異点集合, 交叉の次元が大きい場合を考察する. 2. Atiyah 類の局所化: (1) 正則ベクトル束の Atiyah 類の枠による局所化に付随した留数の構造を解明する. これは交叉理論において大変興味深く重要と思われる. (2) 複素解析的 Thom 類を導入しその応用, 特に Dolbeault 複体に対する Lefschetz 不動点定理の幾何学的な簡明な証明を与える. さらに多様体が特異点を持つ場合への拡張を試みる. これは多変数関数論の深い問題と関わっている. (3) Atiyah 類を用いた場合, 積分可能条件なしに Bott 型消滅定理が成立つことが証明出来たので, 葉層構造より一般に特異分布, 接触構造の留数理論を展開し, 複素力学系への応用を図る. 3. その他: (1) 軌道体特性類, (2) 群作用による局所化問題, (3) J.-M. Bismut, E. Witten 等による関連問題の解析的扱いとの関連, (4) Atiyah 類と Rozansky-Witten 不変量の関係等.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に関する通信連絡, 論文作成, 資料整理のため パーソナルコンピュータ(MacBook Air)を一台購入する(105,000 円) 本研究に関する研究連絡のため国内旅行を行う(1 回, 90,000 円程度)
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