2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540061
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 宣博 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60311809)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ツイスター空間 / 自己双対計量 / 代数次元 / 代数簡約 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、複素射影平面の連結和の上の自己双対計量に付随するツイスター空間の性質を調べた。本年度は主に非代数的なコンパクトツイスター空間について研究を行った。まず上記のツイスター空間について、基本系(反標準束の半分に付随する完備線形系)がペンシルになっているとき、ツイスター空間の代数次元は2にはなり得ないことを示した。証明の基本的な道具は、代数曲面上の因子に対するのいわゆるザリスキ分解である。次に、代数次元が2のツイスター空間を見いだすべく、その候補となる空間の代数次元を計算したが、残念ながら代数次元が2となる空間を見つけることはできなかった。しかしその副産物として、代数次元が1であるツイスター空間で、代数簡約の一般ファイバーが楕円曲線上の線織曲面になっているもの、およびK3曲面になっているものを見いだすことができた。底空間は、前者は5つ以上の複素射影平面の連結和、また後者は5つの複素射影平面の連結和である。今まで見つかっていた代数次元が1のツイスター空間(ただし底空間は複素射影平面の連結和)の代数簡約の一般ファイバーは有理曲面であった。これらの新しい空間の反標準系はペンシルであり、代数簡約はそれにによって引き起こさる。一般ファイバーとして楕円曲線上の線織曲面が出る場合、特殊ファイバーとしてVII型曲面が現れる。このVII型曲面はHopf曲面または楕円型井上曲面であり、実際に前者が起こる例が存在することはほぼ確からしい。後者が出る例が存在するかどうかは非常に興味深い問題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたものとは方向性がややずれる研究内容となってはいるが、予想外の結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究内容を当初予定していた方向に補正し、代数的なツイスター空間の研究を行う。これについては昨年度までの研究により、ある程度の見通しが立っている。すなわち、ある単純な構造を持った3次元有理多様体(正規有理曲線上の平面束)へ二対一写像をもつような代数的ツイスター空間の研究を行う。研究の主要部のうち残されているのは、二対一写像の分岐因子の定義式の決定である。この分岐因子は上記の3次元有理多様体の、4次超曲面によるカットになっている。また、これらのツイスター空間が、代数的なツイスター空間全体の中で占める部分がどのくらいであるかについても追求する。
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Causes of Carryover |
国際研究集会を2件主催し、多くの外国人を招聘したが、彼らのうちの多くが自身の研究費により来日したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰分は、次年度に主催する国際研究集会での外国人の招聘費、および研究代表者の研究に伴う国内および海外渡航費、さらには消耗品(図書、およびプリンター関連)に使用する予定である。
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