2014 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン多様体とポアソン核・熱核のフィッシャー情報幾何学
Project/Area Number |
24540065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 光弘 筑波大学, 名誉教授 (40015912)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Fisher 情報計量 / Hadamard 多様体 / 理想境界 / Busemann 関数 / 重心 / ホロ球 / 双曲空間 / 体積エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要: 1. Hadamard多様体Xの理想境界上に分布をもつ確率測度のなす空間 P はFisher計量を許容する。理想境界上の確率測度に関してBusemann関数の平均が定義され、その重心が X の点として定義される。確率測度に重心を対応させる写像, 重心写像 bar : P → X の情報幾何学的性質を抽出した。特に理想境界の自己同相写像が、いつ X の等長変換となる重心同伴写像を誘導するかという問題を考察し、一定の結論をえた。 2. また、確率測度のなす空間 P 上のFisher計量に関する測地線の簡潔な定義公式をえることができ、P 上の任意の2点を結ぶ測地線を与える式がえられた。さらにこの測地線の公式のもとに、重心写像 bar の逆像 bar{-1}(x) 上に測地線が存在するための必要十分条件をもとめることに成功した。 3. 調和的Hadamard多様体 X に対して超幾何型族を定義した。球関数を定めるラプラス固有方程式が古典変換によってガウス超幾何型微分方程式に変換されるとき、調和的Hadamard多様体を超幾何型とよぶ。超幾何型調和Hadamard 多様体の有する性質、特に測地球面の体積公式を導くことができた。超幾何型調和Hadamard多様体は Gromov 双曲的Hadamard多様体となり、さらに X 上に Helgason-Fourier 球変換が定義でき、逆変換にかんする反転公式表示が可能となった。 4.Hadamard多様体のホロ球の幾何学の展開を行った。ホロ球の外在幾何学によって、Hadamard多様体が双曲空間になるための幾何学的考察を行った。実、複素、四元数双曲空間に関して、体積エントロピー剛性定理を得ることができた。
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