2013 Fiscal Year Research-status Report
双曲多様体の胞体分割に対する変分原理からのアプローチ
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24540071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
牛島 顕 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (50323803)
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Keywords | 双曲幾何学 |
Research Abstract |
平成25年度の本研究の主な内容は、タイヒミュラー空間の variational principle を用いた研究の第一人者である Feng Luo 教授と議論をする機会を得たこと、大域的構造に関する専門家との議論を行ったこと、更に、三次元双曲多面体の一種である orthoscheme の体積に関し variatonal principle と関係の深い Schlafli formula を用いた研究を行ったこと、である。 Feng Luo 教授との議論は、京都大学数理解析研究所で行われた研究集会に参加する為に来日した機会を捉えて行った。同研究所での講演の元になった論文の内容に関する議論を行って理解を深め、それを踏まえて同論文の研究内容を整理し、国内の専門家に対して講演を12月に行い、内容の理解を深めた。 大域的構造に関する研究では、昨年度に引き続き、曲面の多角形分割の構造全体を理解するために、それらが作る圏の構造を中心に研究を行った。平成25年度の研究では、曲面の多角形分割の構造を表す圏の候補を構成することができた。 Schlafli formula に関する研究では、ユークリッド四面体と同様に、底辺を固定して高さを変化させた際の、orthoscheme の体積の変化に関する研究を、共同研究として行った。その結果、ユークリッド四面体の状況とは異なる、双曲空間に特徴的な教務深い現象を観測することができた。この研究結果は論文として公表することができ、また学会でも発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に於ける二年目の研究計画に比べて、lambda-length に関する研究は余り進まなかったのだが、研究計画時点では想定していなかった研究成果として Schlafli formula に関する結果が得られたことと、Feng Luo 教授との議論を行うことにより、研究主題である variational principle に関する理解が深まった点を勘案して、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度の研究計画も、初期の研究計画に概ね則って進めていけば問題無いと考えている。また、研究計画時点では想定せず得られた関連成果である orthoscheme の体積に関する結果と variational principle との関係についても研究を進めていきたい。先の結果は、本年度の国際数学者会議にて講演予定であり、その際に多くの研究者と交流する機会を作ることで、研究を推進する助けとなることが期待出来る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は概ね当初計画通りに消化された。次年度に使用する予定として生じた研究費は、予算策定段階と実使用段階との誤差の範囲内と思われる。 平成26年度の使用予定総額に占める繰越額の割合は小額である事から、平成26年度の使用予定計画の変更は不要であると判断する。
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