2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上 正明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80134443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 毅 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20273427)
藤井 道彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60254231)
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Keywords | 4次元多様体 / 3次元多様体 / ザイフェルト多様体 / Seiberg-Witten理論 / エータ不変量 |
Research Abstract |
3次元多様体の種々の不変量とその関連をその3次元多様体を境界とする4次元多様体のトポロジーを解明することを主眼として前年度より引き続き研究した.特にザイフェルトファイバー空間となる有理ホモロジー3球面に対して,Neumann-Siebenmannの組み合わせ的不変量(これ自体Seiberg-Witten理論由来の福本ー古田の不変量に等しい)がある条件のもとでエータ不変量で記述され,それを経由してHeegaardフレアホモロジー由来の補正項不変量と関連することを示した.この結果は一旦プレプリントにまとめたが,今年度条件を一部緩められることを見出した.現在条件をさらに一般化すべく改訂をすすめている.またその内容に関して,2013年8月にアメリカミネソタ大学で行われた4次元多様体に関する研究集会 Workshop and Conference on the Topology and Invariants of Smooth 4-Manifoldsにおいて講演を行った.なお2013年3月にManolescuによりベータ不変量という有理ホモロジー3球面上の不変量でRochlin不変量の整数値へのもちあげでかつホモロジーコボルディズム不変なものが始めて構成され,5次元以上の位相多様体が単体分割をもつかという長年の予想が否定的に解決された.しかしベータ不変量は連結和に関して加法的でなく,研究代表者の対象とする不変量とはずれが存在する.このずれの解明および境界付き4次元多様体の具体例の構造解明への応用を調べることが今後の課題である.また前年度より日本語による4次元多様体の教科書を作成すべく執筆を進めており,平成26年度中の完成をめざしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有理ホモロジー3球面のうち特にザイフェルトファイバー構造を持つものに対し,Rochlin不変量の持ち上げかつホモロジーコボルディズム不変なものを見出すべくSeiberg-Witten理論とHeegaardフレア理論のそれぞれに由来する不変量の関連の解明をすすめてきたが,2013年3月にManolescuによるベータ不変量の発見により上記の性質を持つ不変量が見出された(ただし我々が対象とする不変量とは同一ではない)ため,その理論を考慮して研究計画を再検討する必要に迫られた.現在双方の理論を視野に入れて比較検討する作業を行っている,また日本語による4次元多様体の教科書は上記のManolescuの結果など最新の成果も包括すべく加筆部分が大幅に増えたため完成が26年度に持ち越されている.
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Strategy for Future Research Activity |
主としてザイフェルト有理ホモロジー3球面に対してSeiberg-Witten理論由来の不変量とHeegaard Floerホモロジー理論由来の不変量の関連の解明をエータ不変量を介してすすめてきたが,両者のずれについては一部しかわかっておらず対象をより一般の3次元多様体に拡げることも含めてより一層の解明を目指す.またNeumann-Siebenmann不変量が一般のグラフ多様体においてホモロジーコボルディズム不変であろうという予想は依然未解明のため,その解決をめざす.また2013年に新たに登場したManolescuによるベータ不変量と我々の研究対象の不変量は同じではなく,その関連について解明することを目標とする.そのためSeiberg-Witten-Floerホモトピーのようなより広範なカテゴリーを視野にいれた研究が必要であり,研究集会への参加や勉強会の組織を通して研究交流にもつとめたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究者の研究課題である3次元多様体の不変量について2013年に他の研究者による新たな発見があり,その検討を含めて研究計画を練り直すことに重点をおき,新たな物品購入などを控えたため. 世界的な新たな研究潮流を視野に入れた研究の推進に資するため,研究集会への参加,勉強会を組織して関連する研究者を招くための資金として活用したい.また研究の推進のため使用するコンピュータ機器の更新も行う.
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Research Products
(1 results)