2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
葉廣 和夫 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (80346064)
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Keywords | 3次元多様体 / Kirby計算 / 絡み目 / 量子不変量 / 圏化 / 量子群 / トレース |
Research Abstract |
当該年度において、3つの論文を(ほぼ)完成させることができた。 1.T. Widmer氏と共同の論文で、3次元多様体の中のnull-homologousな枠付き絡み目に対するKirby計算について研究した。主結果は3次元多様体の中の有理係数でnull-homologousな2つの絡み目が、境界のパラメトライゼーションと有理係数1次元ホモロジーの情報込みで同相となるための必要十分条件を、絡み目のある操作の列で移りあうという形で定式化した。ここで通常のKirby操作の他に、IHX操作というものを導入した。これは有限型不変量やクラスパー手術同値関係の理論に現れるIHX関係式に対応している。また、Cochran-Gerges-Orrによる3次元多様体の手術同値関係に対する応用についても考察した。 2.A. Beliakova氏、A.D. Lauda氏、M. Zivkovic氏と共同で、量子群U_q(sl_2)の圏化のトレース(0次 Hochschild-Mitchellホモロジー群)についての論文をほぼ完成させた。線形圏のトレースはAbel群となるが、この概念を線形2圏に適用することにより線形圏を得ることができる。この構成をU_q(sl_2)の圏化に適用した。通常の圏化の場合には、split Grothendieck groupの時と同様にU_q(sl_2)を回復するのであるが、次数付の圏化に適用するとsl_2のカレント代数が出てくることがわかった。 3.A. Beliakova氏、A.D. Lauda氏と共同で、量子群U_q(sl_N)の圏化のトレースについてのサーベイ論文を完成させた。これは上記2のsl_2の場合の概要について述べ、sl_Nの場合の圏化のトレースの、圏化の中心(2圏における恒等1射の自己2射の全体)への作用について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展していると考える。特に研究目的3に関連して、量子群U_q(sl_2)の圏化のトレースについての結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、研究目的の3項目について研究を行っていく。特に、有理係数null-homologousな枠付き絡み目に対するKirby計算について得られた結果を整数係数に拡張する研究が進展中である。J.-B. Meilhan氏と共同で、3次元多様体内のY型のクラスパーに対するKirby型の定理についての研究も進展中である。また量子基本群と量子表現空間の論文についても完成させたい。 数学の研究においては、計画通りに研究が進まないこともしばしばあり、予想外の進展があったり困難に直面する可能性は十分に考えられる。そのような場合には柔軟に計画を修正しながら研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費の大部分は研究に使用したが、30万円程度が残った。これについては次年度において、物品購入費と旅費の一部に充てる。 次年度の研究費および今年度からの繰り越し分については、主に、研究に必要な書籍、文具、消耗品などの購入、および研究打ち合わせと研究発表のための出張に必要な旅費のために支出する予定である。
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