2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540084
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 治 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10153595)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | リーマン幾何学 / 共形微分幾何学 / 射影微分幾何学 / シュワルツ微分 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に,ラゲール幾何学の方法を用いて,閉曲線の共形不変な長さについての基本的結果を得た.ユークリッド球面上の閉曲線は球面の共形構造から射影構造が定義されることはすでに研究代表者により分かっていた.この閉曲線に対してラゲール幾何学を用いた変換を導入した.ラゲールの球空間はローレンツ計量空間であるが,曲線の助変数変換により空間的等速閉曲線に対応させることが可能であることが証明され,その長さが球面の共形変換で不変となる.その長さは常に2π以上であり,2πと等しくなるのは正円に限ることが証明できた.またこの共形的長さは曲線の射影構造のカイパーによるパラメーターと一致することが分かった.一般のリーマン多様体での閉曲線については和田昌昭と研究代表者の導入した共形的シュワルツ微分を用いて射影構造が定義できるので,そのパラメーターを用いて共形的長さを3次元以上の一般のリーマン多様体に拡張できる.そこでリーマン多様体上の閉曲線の共形的長さの下限としてリーマン多様体の共形不変量が定義できる.いくつかの例でこれは山辺の共形不変量と関係していることが確かめられる.これらの結果はさらに発展させて,これから論文にまとめる予定である.共形微分幾何と1次元ではあるが射影微分幾何に関する結果として,これまでにないもので,今後の研究の出発点となりうると考えている. 平成24年度には S^2 x S^2 の山辺不変量を評価するための準備した,問題解決の方法を定めることはできたが解決には今後の継続研究が必要である. 平成25年度にはシュワルツ微分を用いた曲線の単射性定理がなりたつ空間としてユークリッド球面が定まるのではないかと言う予想について部分的結果を得た. 平成26年度には閉曲線の正則ホモトピー不変量を共形微分幾何を用いて表示する方法を得た.
|