2012 Fiscal Year Research-status Report
対称空間における部分多様体の幾何学と調和写像論の研究
Project/Area Number |
24540090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大仁田 義裕 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90183764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10243354)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 部分多様体 / 対称空間 / 調和写像 / ラグランジュ部分多様体 / 可積分系 / 等径超曲面 / 極小部分多様体 |
Research Abstract |
今年度は,本研究課題の初年度として,国内外での研究発表講演や研究交流を積極的に行い,以下のように順調に研究が進んでいる。部分多様体論に関する研究集会“Differentail Geometry of Submanifolds and its Related Topics”(2012年8月佐賀大学),韓国・慶北国立大学や国立台湾大学の研究機関と微分幾何・幾何解析に関する国際ワークショップ等開催し,研究分担者・連携研究者らと研究課題を推進した。 複素射影空間,複素2次超曲面およびコンパクト型エルミート対称空間のラグランジュ部分多様体の研究に関しては,研究代表者は複素射影空間および複素2次超曲面内のラグランジュ部分多様体に関する今までの研究結果を踏まえ,異なるコンパクト型エルミート対称空間のラグランジュ部分多様体を関係づける問題を研究し,その研究成果は本報告書記載の論文2件で発表した。研究代表者と北京・Hui Ma(馬輝)副教授との共同研究は,単位標準球面内の等質等径超曲面のガウス像として得られる複素2次超曲面のコンパクト極小ラグランジュ部分多様体のハミルトン安定性を完全に決定した研究(2009,プレプリント約170ページ)をPart I, Part IIの2部に分割して数学専門雑誌に投稿した。また,さらなる関連問題の研究も始めており,とくに等径超曲面のガウス像の交点理論研究に新たな結果を得ている。複素双曲空間の等質ラグランジュ部分多様体の分類問題についても進展があった。研究代表者と連携研究者・小池直之(理科大理)は,ヒルベルト空間内の無限次元等径部分多様体およびそれに関わる対称空間内の部分多様体理論の研究を推進した。調和写像と可積分系理論の研究については,Willmore予想に対する可積分系アプローチや四元数正則幾何学の手法による曲面論・可積分系研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
佐賀大学での研究集会は,関連研究者たちを集め,研究方法・最近の成果や新たな視点等有意義な議論・情報交換をもてた。異なるコンパクト型エルミート対称空間のラグランジュ部分多様体を関係づける研究は,複素射影空間や複素2次超曲面内のラグランジュ部分多様体に関する今までの研究結果を踏まえ,等径超曲面族とシンプレクティック商の方法を組み合わせることにより,n次元複素2次超曲面のラグランジュ部分多様体からn+1次元複素射影空間のラグランジュ部分多様体を構成する方法を与え,同様なアイデアで他の場合の構成も論じたもので,さらなる一般化の研究が期待される。等径超曲面のガウス像の交点理論研究は,出発点となる結果として「その交点が等径関数の臨界点で与えられる」を示し,ラグランジュ部分多様体の交点とモース理論の関わり示し一層の深い研究が期待される。研究代表者と小池は,C. Gorodski教授(ブラジル・サンパウロ大学)らとヒルベルト空間内の無限次元等径部分多様体研究の現状・未解決問題の検討をもった。J.Berndt教授(イギリス・キングスカレッジロンドン)とは,複素双曲空間の等質ラグランジュ部分多様体の分類問題について議論,非コンパクトな等質ラグランジュ部分多様体の研究方法について貴重な示唆を受けた。調和写像と可積分系理論の研究については,大仁田-宮岡共著作「調和写像と可積分系理論」はまだ執筆中だが,山口大学主催研究会「多様体上の変分問題とその周辺領域-Willmore曲面について‐」でWillmore予想に対する可積分系アプローチに関して調和写像と可積分系理論の観点からレクチャーしたことや,イギリス・Katrin Leschke教授,筑波大学・守屋克洋助教とは四元数正則幾何学手法による曲面論・可積分系研究の検討を行い有益な研究交流をもったことで,共著作の内容充実とモティベーションを一層高めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究集会“Differentail Geometry of Submanifolds and its Related Topics”に参加の関連研究者たちの研究方法・最近の成果や新たな視点等を収録したプロシーディングス(報告集)をWorld Scientific社よりが学術出版する。本研究課題の新たな研究成果に関する国際学会,国際研究集会等での発表講演・レクチャーや海外研究者との共同研究を積極的に行う。大仁田-宮岡共著作「調和写像と可積分系理論」の完成を目指し関連研究の推進し執筆に集中する。今までの実績と打ち合わせなどを踏まえて,連携研究者・小池直之(理科大理)と協力して,C. Gorodski教授(ブラジル・サンパウロ大学),E. Heinze教授(ドイツ・アウグスブルグ大学)との無限次元等径部分多様体に関する国際共同研究を立ち上げる。研究代表者は,非コンパクトリー群の微分幾何学の専門家のJ.Berndt教授(イギリス・キングスカレッジロンドン)との複素双曲空間形,より一般に,非コンパクト型エルミート対称空間の等質ラグランジュ部分多様体の構成・分類問題の共同研究を進める。等径超曲面とそのガウス像として得られる複素コンパクト極小ラグランジュ部分多様体の研究は,最近国内外での研究者らからも注目されて密接な関連研究が出てきており,国際競争的状況にあり,研究代表者と北京・清華大学の馬輝(Hui Ma)副教授とは,一層精力的な研究を取り組む。とくに,標準球面の等径超曲面のMuenzner, OT-FKM理論を徹底的に検討して,等径超曲面とそのガウス像の構造と幾何学の理論を構築しておきたい。とくにOT-FKM型の非等質等径超曲面のとそのガウス像のハミルトン安定性などの性質の研究を非常に興味深い。また来年度は島根大学でのトポロジー・幾何学国際会議の微分幾何部分を組織委員として推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B-A)の研究費は,必要な数学・数理科学関係図書・雑誌の購入,本研究課題に研究協力してもらう研究者・大学院学生の旅費に使用する。
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Research Products
(12 results)