2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540092
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
辻 元 上智大学, 理工学部, 教授 (30172000)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケーラー・リッチ流 / ケーラー多様体 / ベルグマン核 / 極小モデル / 多重劣調和関数 / フランス / パリ |
Outline of Annual Research Achievements |
ケーラー・リッチ流の差分方程式を用いた離散化を行い、その差分を0に収束させたときにケーラー・リッチ流が再現されることを証明した。一方、その離散化をベルグマン核のイテレーションの極限として実現した。これにより、射影的族において大域的なケーラー形式を初期値として、各ファイバー上で一斉にケーラー・リッチ流を考えた場合に、各ファイバーの標準束が擬正の場合には、全ての時間において、ケーラー・リッチ流の解は、全空間で半正値性を保つことを証明した。一方、コンパクト・ケーラー多様体の場合についても、恐らく同様の結果が成り立つと思われるが、この場合の問題点は、正の直線束が存在しないためベルグマン核のイテレーションに当たるものが存在しないことである。この困難を克服するために、極値的測度を導入し、極値的測度のイテレーションの極限がケーラー・アインシュタイン計量または、標準測度の曲率形式となることを証明した。この結果は、極値的測度がベルグマン核の代替物として使える可能性を示唆するもので、応用が期待される。実際、例えばこの結果を用いると次の応用が得られる:
定理 3次元コンパクト・極小ケーラー多様体のケーラー族において、多重種数は変形不変になる。
この結果は3次元という限られた状況ではあるが、コンパクト・ケーラー多様体のケーラー変形において、多重種数が変形不変になるという予想について、肯定的な結果であり、価値あるものである。このように極値的測度はベルグマン核の代替物として十分に役立つものと思うが、極値的測度によるケーラーリッチ流の再現には、未だに成功していない。これをまず証明することが今後の課題だろうと思う。
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Research Products
(5 results)