2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (30268974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シンプレクティック商 / 余随伴軌道 / 旗多様体 / ベクトル分割関数 / 超幾何関数 / ウェイト多様体 |
Research Abstract |
交付申請書に記したように、コンパクト単純リー群の余随伴軌道すなわち旗多様体の族から、直積やシンプレクティック商などの操作により定まる空間の不変量について研究を行った。この空間の座標環は、既約表現の族からテンソル積や不変部分空間を取ることにより得られるため、関連して表現論や組合せ論の問題も派生する。特に、ベクトル分割関数や、その連続版であるベクトル体積関数が重要な対象となる。 研究代表者高倉は、第一に、重み付きのベクトル分割関数に対するBrion-Vergneの公式を、重みが負の場合まで含めて成り立つ形に一般化した。ベクトル体積関数については、昨年度にBrion-Vergneの公式の一般化を得ていたが、これでようやく、分割関数・体積関数の両方について、統一的な一般化が得られたことになる。これらの結果を、階数が高いリー群の余随伴軌道の直積空間のシンプレクティック商の研究へ応用することが期待されるが、詳細は今後の課題として残されている。第二に、(昨年度に得られていた)ベクトル体積関数に対する明示公式の応用として、正整数を指数パラメータにもつGelfand-Kapranov-Zelevinsky超幾何方程式系の基底の表示を得た。第三に、3次の特殊ユニタリ群に対する二重ウェイト多様体のトポロジーについて研究を進めた。具体的には、鈴木太郎氏による体積公式を応用することにより、いくつかの典型的な二重ウェイト多様体について、すべてのコホモロジー交叉積およびベッチ数を決定した。なお、第一、第二の結果の詳細を、福岡大学幾何学研究会において発表した。 この他に、研究分担者三好は、3次元開多様体上の絡み目と平面への沈め込みについての研究成果を、第59回トポロジーシンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画欄に具体的な問題・目標としてとして挙げていたものの内、いくつかが解決できた。すなわち、「(1) 余随伴軌道に付随するシンプレクティック商の不変量の計算と同形類の考察」については、3次ユニタリ群に対する二重ウェイト多様体のトポロジーに対する成果が得られた。また、「(2) (1)の過程に現れる表現論的・組合せ的構造の考察」については、重みが負の場合も含めたベクトル分割関数の明示公式を証明することができた。 一方、(3)各種のシンプレクティック商におけるラグランジュ部分多様体の構成については、まだ進展が得られていない。今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果を踏まえつつ、「現在までの達成度」に記した具体的な問題・目標(1)(2)(3)について研究を継続する。研究組織内の分担も前年度の通りとする。現時点における重要な検討項目としては、「多重ウェイト多様体の位相型・(シンプレクティック)微分位相型・双正則型の考察」「ベクトル分割関数と付随する体積関数に対する明示公式の応用、およびそれらのq類似・無限次元的類似の考察」「重複度多様体におけるラグランジュ部分多様体の構成や、重複度多様体の複素化の考察」等を想定している。 同時に、文献・資料や情報の収集を継続して行い、検討項目を随時見直す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度と同様に、研究方法としては、研究組織内での議論・情報交換に加えて、 「各地の研究者を訪問・招聘し、議論・情報交換を行うこと」「関連する研究集会に参加し、議論・情報交換と資料収集を行うこと」「情報・文献の収集を幅広く行うこと」 「数値計算・数式処理を効果的に行うこと」を想定している。研究経費はすべて、これらの事項の遂行のために用いる。
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Research Products
(3 results)