2012 Fiscal Year Research-status Report
ディラック型作用素の局所指数の理論と幾何学的量子化
Project/Area Number |
24540095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 尚彦 明治大学, 理工学部, 講師 (70451903)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | Dirac作用素 / 解析的指数 / Witten 摂動 / 局所化 / 幾何学的量子化 |
Research Abstract |
前量子化可能な閉シンプレクティック多様体に特異ファイバーを持つLagrangeファイバー束の構造があるとき,Spin-c Dirac作用素の指数がBohr-Sommerfeldファイバー (以下BSファイバー)の個数と一致することが様々な例で知られている.これは,Spin-c Dirac作用素の指数がBSファイバーの近傍への局所化現象と見ることができる. これまでの研究では,この現象のメカニズムを解明するために(non)BSファイバーの解析的な特徴を抽象化した acyclic compatible system という構造を考え,これを用いてDirac作用素を摂動することによって局所指数を定義した.しかし,二つの acyclic compatible system から定まる局所指数が一致するための条件は分かっていなかった. そこで今年度は,2次元シリンダーの例を考察することによって,二つの acyclic compatible system から定まる局所指数が一致するためのひとつの十分条件を得た.またその応用として,非特異射影的トーリック多様体の同変 Riemann-Roch 指数に関するDanilov の定理の局所指数の理論を用いた別証明を与えた. 局所指数の理論を幾何学的量子化に応用するためには,さまざまな例について局所指数を具体的に計算する手段が必要になる.そこで今年度は,U(1)作用のシンプレクティクカットのカットローカスの同変局所指数を計算する手段を確立し,それを用いて複素旗多様体上の測地流の零点の局所指数を計算した. 本研究を円滑に遂行するためにセミナーを6回開催し,様々な分野の研究者から専門知識の提供を受け,情報交換を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ふたつの acyclic compatible system が等しい局所指数を定めるためのひとつの十分条件が得られた,その結果,ある重要な例で,acyclic compatible system を十分条件の範囲内で取り替えることによって,これまではできなかった局所指数の計算ができるようになった.これによって,本研究の目的のひとつである「局所指数がそれを定義するために用いた付加的な幾何構造にどの程度依存するのかを明らかにすること」が達成されたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
ふたつの acyclic compatible system が等しい局所指数を定めるためのひとつの十分条件が得られた,そこで今度は,acyclic compatible system を十分条件の範囲内でうまく取り替えることにより局所指数を計算する組織的な方法を探る.また,K理論などのホモロジー代数を利用することで,局所指数を計算する方法を探る.閉多様体上の楕円型微分作用素の指数を計算する最も有効な手段の1つに,コンパクトLie群作用のある場合の同変指数に対するLefschetzの公式を用いる方法がある.局所指数についてもU(1)作用がある場合にこの公式を一般化とそのHamilton U(1)作用への応用を試みる. これまでの研究で,HamiltonU(1)作用に対して,同変局所指数が運動量写像の整数値の逆像の近傍へ局所化することが明らかになっており,整数値が運動量写像の正則値の場合には近傍からの寄与を幾何学的に計算する公式を得ている.そこで今度は,整数値が臨界値である場合に近傍からの寄与を計算する方法を探る. 開Riemann多様体上のDirac型作用素に対して指数を定式化する方法は,我々の局所指数の他にも,Braverman,Zhangらによるものもある.そこで,局所指数とBravermanやZhangらの方法との関係を探る.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属機関の異動に伴う研究環境の大幅な変化のため,当該研究費が生じた. 次年度は,今年度の研究結果を国際会議などで報告し,また,セミナーや研究集会を開催することで国内外の研究者との研究打合せや情報交換を積極的に行う.
|
Research Products
(4 results)