2013 Fiscal Year Research-status Report
ディラック型作用素の局所指数の理論と幾何学的量子化
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24540095
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 尚彦 明治大学, 理工学部, 講師 (70451903)
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Keywords | Dirac作用素 / 解析的指数 / Witten摂動 / 局所化 / 幾何学的量子化 |
Research Abstract |
申請者はこれまで,古田幹雄氏(東大数理)と藤田玄氏(日本女子大学)との共同研究において,WittenがMorse不等式を示すときに用いた作用素の摂動のアイディア(以下,Witten 摂動)に基づく解析的手法によって,閉多様体とは限らない多様体上のDirac型作用素に対する指数を定式化する枠組みを与えた.この定式化で得られる指数を局所指数と呼ぶことにする.本研究の目的は,次の3点である. 1.局所指数が(それを定義するために用いた)付加的な幾何構造にどの程度依存するのかを明らかにし,局所指数を計算する組織的な方法を探ること. 2.開Riemann多様体上のDirac型作用素に対する局所指数について,K理論を用いて定式化し,指数定理の一般化を目指す. 3.断熱極限との関係を明らかし,局所指数の理論の幾何学的な理解を深めること. これに対して今年度は,1について,acyclic compatible systemが二通りある場合にそれぞれを用いて定義される局所指数の関係を指数のコボルディズム不変性の観点から考察した.また,2について,非可換幾何の専門家からC*環やKホモロジーについての専門知識の提供を受け,特異ファイバーを持たないLagrangeファイバー束の場合にこれまでに得られた局所指数のKホモロジーなどを用いた定式化について考察を行った.専門家と計5回にわたり,研究打ち合わせを行い,専門知識の提供を受けた.これまでの研究成果について論文1本にまとめ投稿し,また国内外の研究集会で研究報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
acyclic compatible systemが二通りある場合に,それぞれを用いて定義される局所指数の関係を指数のコボルディズム不変性の観点から考察することによって,初年度に得られた結果を進展されることが出来た.それによって,研究目的1にある「局所指数が(それを定義するために用いた)付加的な幾何構造にどの程度依存するのかを明らかにする」について研究が大きく進展した. 特異ファイバーを持たないLagrangeファイバー束の場合に,局所指数の理論をC*環などの道具を用いた定式化について考察を行い,研究目的2にある「開Riemann多様体上のDirac型作用素に対する局所指数について,K理論を用いて定式化し,指数定理の一般化を目指す」について研究が進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
局所指数のコボルディズム不変性を応用し,楕円型やnodal型の特異ファイバーの局所指数の計算を実行する.特に,楕円型特異ファイバーを持つLagrangeファイバー束のRiemann-Roch指数がBohr-Sommerfeldファイバーの個数と一致することを示す.また,トーリック多様体の同変Riemann-Roch指数に関するDanilovの公式を同変局所指数の理論を用いて再現する.さらに,局所指数のKホモロジーなどを用いた定式化について研究を推進する.数学の他分野、さらには物理学などへの応用を探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属機関の異動に伴う研究環境の大幅な変化のため平成25年度に生じた繰越金分を,研究打ち合わせ,研究集会参加,研究用資料の購入に積極的に使用したが,当該年度内に完全には消化しきれなかったため. 当初の計画に加え,平成25年度までに得られた研究成果を国内外の国際会議や研究集会などで報告する機会を増やす予定である.また,国内外の研究者と研究打ち合わせをする機会を増やし,研究の推進に努める予定である.
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Research Products
(6 results)