2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中川 征樹 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50370036)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トポロジー / 幾何学 / リー群 / ループ空間 / アフィン・グラスマン多様体 / シューア関数 / 組合せ論 / ホップ代数 |
Research Abstract |
SU, Sp, SOをそれぞれ無限特殊ユニタリー, シンプレクティック, 特殊直交群とする. まず, SU上の基点付きループ空間ΩSUの整数係数ホモロジーおよびK-ホモロジーのなす環はZ上の対称関数環Λと次数付きホップ代数として同型である. これまでの研究により, ΩSp, Ω_0(SO)の整数係数ホモロジーのなすホップ代数について, 河野-小島の記述を利用して, これらがそれぞれシューア P, Q-関数のなす環とホップ代数として同一視できることを示すことができた. また, Clarkeの結果を利用し, K-ホモロジーについても,Λの部分ホップ代数としての実現が得られている. 平成24年度は, 成瀬弘氏との共同研究により, 以上の結果を複素向き付け可能な一般(コ)ホモロジー論(特に複素コボルディズム理論MU(-))に拡張し, ΩSpおよびΩ_0(SO)の一般ホモロジーのなすホップ代数の, Λ(係数拡大したもの)の部分Hopf代数としての実現を与えた. 双対的にコホモロジーについての記述も得られている. さらに, これらのホップ代数の「基底」を与えるシューアP, Q-関数の拡張版を構成した. すなわち, 池田-成瀬により導入された「K-理論的シューアP, Q-関数」の構成方法を基にして「MU-コホモロジー・シューアP, Q-関数」を構成した. また, コーシー型の再生核を利用して, これらの双対である「MU-ホモロジー・シューアP, Q-関数」も構成した. K-ホモロジー・シューアP, Q-関数の場合には, より精密な結果として「逆平面分割」を利用した組合せ論的な表示や「差分商作用素」を利用した構成法も得られている. 以上の結果は, 国際研究集会「MSJ-SI 2012 Schubert Calculus」(2012年7月 於 大阪市立大学)等において発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究の成果として, 複素向き付け可能な一般(コ)ホモロジー論に対して, ΩSpよびΩ_0(SO)の一般(コ)ホモロジーを, 対称関数環Λ(係数拡大したもの)の部分Hopf代数として実現し, その「基底」を与えるシューアP, Q-関数の拡張版を構成することができている. これらはいわば「代数的な基底」である. 一方で, リー群上のループ空間は, いわゆる「アフィン・グラスマン多様体」の構造をもち, 有限次元のグラスマン多様体と同様に, 通常の(コ)ホモロジーの場合には, シューベルト多様体が定める「シューベルト類」が定義され, これらが(コ)ホモロジーの「幾何的な基底」を与えている. これらを複素コボルディズム理論などの一般コホモロジー論に拡張する場合, 「シューベルト類」をどう定義するかが問題となる. これについては, いわゆるBott-Samelson分解を用いた定義などいくつかの試みがあるものの, 我々が代数的に構成したものとは一致しない. このように, 一般コホモロジー論の場合に, 我々の多項式に対応する「幾何的な」シューベルト類の構成についての試行錯誤に時間を要することとなってしまった. 今のところ, 池田-成瀬の仕事にならい, 「トーラス同変コホモロジー理論における局所化」の手法を利用して,「シューベルト類」を構成することが最良であるという結論に至っている. また, ラグランジアン・グラスマン多様体LG(n)=Sp(n)/U(n)を考え, n→∞の極限におけるホモトピー同値LG(∞)=ΩSp(∞)を利用し, LG(∞)の(コ)ホモロジーを考えることにする. LG(n)は有限次元の旗多様体であり, これに関するトーラス同変コホモロジーについては, 池田-成瀬などの先駆的な結果があり, こちらを利用できるからである.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」の項で述べたように, ラグランジアン・グラスマン多様体LG(n)のトーラス同変コホモロジー理論における局所化の手法を利用して, 複素向き付け可能な一般コホモロジー論(特に複素コボルディズム理論)におけるシューベルト類を定義し, その極限として, LG(∞)=ΩSp(∞)のシューベルト類を捉え, このようにして幾何的に定義されたシューベルト類と, 代数的に定義された多項式が対応しているという方向性で研究を進めていく予定である. 同時に, 純代数的, 組合せ論的な観点から, 我々が構成した多項式の族のもつ性質(いわゆる「分解性」(factorization property)や「消失性」(vanishing property)など)についても研究を進めていく予定である. さらに, K-理論の場合には「K-ホモロジー・シューアP, Q-関数」のヤング図形を用いた組合せ論的な表示も得られてはいるが, Lam-Pylyavskyyが構成した「双対安定Grothendieck多項式」との関係など, まだまだ未知の部分が多いので, これらについても研究を進めていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果を発表するため, および情報収集のために参加するトポロジーや表現論, 組合せ論などの研究集会への旅費, 文献, 書籍の購入に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)