2012 Fiscal Year Research-status Report
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24540106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂井 哲 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50506996)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 臨界現象 / φ4乗モデル / イジング模型(オランダ) / 1-arm指数(オランダ) / レース展開(台湾) |
Research Abstract |
スピン系数理モデルの臨界現象を「確率幾何学的な解析」によって厳密に理解するべく,以下の3つの課題に取り組んでいる.(1)冪的に減衰する長距離2体相互作用で定義されたイジング模型を考え,その冪指数(=d+α)に依存して,高次元における臨界2点関数が漸近的にリース核になったり(α<2),ニュートン核になったり(α>2),それに対数補正がつく(α=2)という予想を解決.(2)φ4乗モデルに対するレース展開の手法を確立し,「繰り込み群」による従来の結果を凌駕する精密な結果を導出.(3)「+境界条件」が課されたd次元球の中心に位置するイジングスピンの期待値が,球の半径の或る冪(この冪指数を1-arm指数と呼び,d>4の最近接格子モデルでは1)で減衰するという予想の解決. 平成24年度のそれぞれの課題に対する実績は次の通り.(1)8月に共同研究者のChen教授が訪日,11月と3月に坂井が訪台し,α≠2の結果をまとめて論文を執筆,確率論トップジャーナル“Annals of Probability”に投稿,受理された.α=2については現在進行中.(2)現在までに得られている解析結果を基に,Universita di Modena e Reggio Emilia(イタリア,6月),Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach(ドイツ,9月),National Center for Theoretical Sciences(台湾,3月)で開催された国際研究集会で招待講演を行ない,確率論シンポジウム(京都,12月)で発表.論文は現在執筆中.(3)共同研究者のHeydenreich教授とMathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach(ドイツ,9月)で研究打ち合わせを行ない,課題が山積していることを再確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題(1)については,すでにα≠2の結果が完成し,Annals of Probabilityに受理されたことで目標の最低ラインは達成された.残るα=2のケースについても傍証が集まりつつあり,順調に進展している. 研究課題(2)についても,すでに解析結果だけは相当集まっていて,それを国際研究集会などでアナウンスしている.反響も良い.この事業期間中に論文を完成できる見通しも高く,順調に進展している. 研究課題(3)の進展状況が最も遅い.共同研究者のHeydenreich教授と地理的に離れていて,なかなか会えないことが大きな理由の一つ.平成25年度に計画している国際研究集会(札幌,8月)に招聘し,研究集会後も滞在を延長していただく予定.現在までの達成度30%.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(1)については,Chen教授と坂井で相互訪問を繰り返し,残るα=2の問題の解決を目指す.既にα≠2の結果は出ているので,この事業期間中の最低ラインは達成されている.α=2の問題が事業期間中に終わらなかった場合でも,継続して共同研究を続ける意向. 研究課題(2)については,材料はそろっている状態なので,あとは論文を執筆するのみ.残る2年間で必ず達成できるものと確信している. 研究課題(3)については,共同研究者間の相互交流を活発化し,問題に触れている時間を増やす方策をとる.具体的には,平成25年度に計画している国際研究集会(札幌,8月)に招聘し,それに合わせて研究打ち合わせをする.さらに科研費に余力があれば,坂井がLeiden(オランダ)や福岡を訪問する予定.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・Bangalore(インド,5月)やTe Anau(ニュージーランド,1月)で開かれる国際研究集会に出席,招待講演を行なう.そのための旅費滞在費の一部を出費. ・国際研究集会“The 2nd Workshop on Universality and Scaling Limits in Probability and Statistical Mechanics”を平成25年8月5日(月)~9日(金)に開催する予定.16人の海外研究者と10人の日本人研究者を招聘,旅費滞在費を支給. ・Leiden(オランダ)やNational Center for Theoretical Sciences(台湾)を研究訪問する.そのための旅費滞在費の一部を出費. ・研究関連書籍の購入.
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