2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂井 哲 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50506996)
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Keywords | 臨界現象 / φ4乗モデル / イジング模型(オランダ,台湾) / 1-arm指数(オランダ) / レース展開(台湾) |
Research Abstract |
スピン系数理モデルの臨界現象を「確率幾何学的な解析」によって厳密に理解すべく,以下の三つの課題に取り組む.(1)冪的に減衰する長距離2体相互作用係数で定義されたイジング模型を考え,その冪指数(次元+α)に依存して,高次元における臨界2点関数が漸近的にリース核(α<2の場合)やニュートン核(α>2の場合)になったり,それに対数補正がつく(α=2の場合)という予想の解決.(2)φ4乗モデルに対するレース展開の手法を確立し,繰り込み群による従来の結果を凌駕する精密な結果を導出.(3)「+境界条件」が課された半径rの球の中心に位置するイジングスピンの期待値が,rの冪(この冪指数を1‐arm指数と呼び,4次元より高次元では1に退化すると予想)で減衰するという予想の解決. 平成25年度のそれぞれの課題に対する実績は次の通り.(1)8月に共同研究者のChen教授が訪日,11月に坂井が訪台,3月にライデン(オランダ)で再会し,研究打ち合わせを行なった.α≠2の場合は完全解決し,論文がAnnals of Probabilityに受理されている.α=2の場合は未だ課題があり,その解決の為に意見交換を継続していくことを確認した.(2)6月にバンガロール(インド)で開かれた研究集会と,1月にテ・アナウ(ニュージーランド)で開かれた研究集会で途中経過を報告した.論文が最近完成,某ジャーナルとarXivに投稿した.(3)8月に共同研究者のHeydenreich教授が訪日,3月に坂井が訪蘭し,研究打ち合わせを行なった.問題の核心を最近発見し,その解決の為に意見交換を継続していくことを確認した. 以上の研究課題以外の活動として,採択期間中に行なう計画だった国際研究集会を札幌で開催(海外講演者13人,国内講演者10人,参加者合計40人弱)した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題(1) すでにα≠2の場合は完全解決し,論文がAnnals of Probabilityに受理されたことで,目標の最低ラインは達成されている.残るα=2の場合も傍証が集まりつつあり,研究は順調に進んでいる. 研究課題(2) 論文が完成,某ジャーナルとarXivに投稿したことで,この課題はほぼ達成された. 研究課題(3) 問題の難易度が高く,共同研究者のHeydenreich教授と地理的に離れていることも影響して,進展が遅い.3月にライデン(オランダ)を訪れた際,1-arm指数の上限についてだけでも期間中に纏める方向で合意した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(1) 授業の少ない2学期に坂井が訪台し,残るα=2の場合の解決を目指す.採択期間中に終わらなかった場合でも,共同研究は継続する意向. 研究課題(2) 坂井が論文を投稿して間もなく,カナダの研究グループから課題(2)と関連する問題を全く違うアプローチで解決する方法が提示された.来年度(平成26年度)9月に長期滞在の招待を受けているので,今後の研究の方向性を探るべく,訪問して研究打ち合わせをする. 研究課題(3) 授業の少ない2学期に坂井が訪蘭し,最近発見した「(境界条件に伴う)問題の核心」をどう取り扱うかについて研究打ち合わせをする.採択期間中に片側不等式だけでも完成させたいが,終わらなかった場合でも,共同研究は継続する意向.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2万円強では旅費にも備品購入にも使えなかった為,平成26年度の研究費の足しに使うことを決定. 自身3回の海外出張(カナダのブリティッシュ・コロンビア大学へ9月の1ヶ月間,台湾の国立政治大学へ11月の10日間,フランスのアンリ・ポアンカレ研究所へ2月の10日間)と,学生2名の海外出張(共にブリティッシュ・コロンビア大学へ6月の1ヶ月間)があり,その出費の足しに平成25年度の未使用額を使う予定.
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