2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宇野 力 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20282155)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 逐次解析 / 二段階法 / 漸近有効性 |
Research Abstract |
1. 指数分布の母平均を表す尺度母数の推定に対して,標本平均を推定量として,二乗誤差に線形費用を加えた形の損失関数をとり,その期待損失を最小にしようとすると,最適標本数は尺度母数を含むため未知となる。それで,二段階法を用いて逐次的に推定する。標準偏差の既知な下限が与えられた場合に,Mukhopadhyay and Duggan (2001)は2次の漸近有効性をもつ二段階法を与えた。本研究では,この二段階法のリスクの漸近展開式を求めた。また,逐次推定量のバイアスを補正することにより,リスクを縮小できることも示した。この成果を2012年7月10日にトルコ・イスタンブールで開催された第8回確率統計国際会議で磯貝英一氏と共同で講演発表した。 2. 位置母数と尺度母数をもつ負の指数分布に従う二つの母集団に対して,位置母数の差に対する有界リスク問題を考えた。二つの尺度母数が未知で異なるとき,尺度母数の既知な下限が与えられた場合に,3次の漸近有効性をもつ二段階法を求めた。 3. 正規分布の母平均に対する固定幅の信頼区間を構成する問題において,分散の既知な下限が与えられた場合に,Isogai, Uno and Takeuchi (2012)は二段階法を用いた場合の被覆確率の漸近展開式を求めた。この漸近展開式には正確に評価できていない項が含まれていたが,その項を正確に評価することができ,完全な漸近展開式を示すことができた。この研究成果を,2013年3月4~6日に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「Asymptotic Expansions for Various Models and Their Related Topics」(研究代表者:赤平昌文)において講演発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における2つの研究目的のうちの1つに,二標本問題において3次の漸近有効性を達成することを掲げていた。2つの指数分布の位置母数の差を二乗誤差のもとで推定し、期待損失をリスクとするとき、このリスクがあらかじめ定めた正定数w以下となるように標本の大きさを確率的に決定する有界リスク問題において、未知な分散の下限情報がある場合の二段階法に対して3次の漸近有効性をを示すことができた。これは類似の二標本問題にも応用できるため,研究目的の1つは順調に研究が進んでいると判断できる。もう一つの研究目的としていた三段階法の高次漸近特性の研究については、元来、本研究課題2年目から着手するという研究計画であったため、そのように進める。以上を総合して、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度までは研究は順調に進んでいる。ただ、今後の研究を進める上で、コンピューター・シミュレーションのプログラムを新たに組む必要が生じたため、計算機に詳しい山口祥司准教授(秋田大学)に研究分担者に加わってもらう方針である。このため、研究分担者1名の追加申請を行う。これにより、本研究課題の研究目的をより確実に遂行できる。 研究目的の1つである二標本問題における二段階法の3次の漸近有効性については、研究のさらなる推進と取りまとめを行いたい。もう1つの研究目的の三段階法の高次漸近特性に関しては、上記の分担者にコンピューターのプログラム作成を手伝ってもらいながら、25年度から研究にとりかかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、当初購入を予定していたPCの購入を先送りしたためである。その理由は、24年度にマイクロソフト社から新OSのWindows8が発表され、この基本ソフトを搭載したPCの発売が始まったが、新しいOSは初期段階では性能が安定せず大がかりなアップデートを余儀なくされる場合があるため、ある程度安定するまで待つことにしたためである。これによる研究への支障は生じておらず、次年度使用額により25年度にWindows8を搭載したPCを購入する予定である。 本年度直接経費は当初予定額を請求するが、そのうちの一部を新たに加える予定の分担者1名に分担金として配分する。
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Research Products
(5 results)