2013 Fiscal Year Research-status Report
特異性の解を持つ偏微分方程式に関する数値解法の研究の新展開
Project/Area Number |
24540108
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
方 青 山形大学, 理学部, 教授 (10243544)
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Keywords | 数値数学 / 高精度数値解法 / 放物型偏微分方程式 / 有限差分法 / 初期値―境界値問題 / 誤差評価 / 有理型関数 / 値分布 |
Research Abstract |
(1) 特異性の解を持つ放物型偏微分方程式の高精度の数値解法に関する研究 研究代表者は、北京林業大学の Xiao-Yu Zhang 講師との共同研究で、多角形領域における放物型偏微分方程式の初期値―境界値問題の高精度の数値解法の開発とその数値解析の誤差評価を従事した。有限差分法を有限要素法の視点から導出することにより、放物型偏微分方程式の有限差分解の離散微分を定めた。このアプローチにより有限要素法の解析手法を使うことが可能となり、有限差分解の近似性およびその振る舞いがより深く解明された。真の解が時間変数と空間変数に対してともにある程度の滑らかさを持つ条件のもとで、領域の分割要素に長方形と三角形が両方ある場合には、数値解が時間変数に関して2次の精度、空間変数に関して3/2次の精度を持つ。一方、領域の分割要素に長方形だけがある場合には、数値解が時間変数に関しても空間変数に関しても2次の精度を持つ。研究成果は論文としてまとめられ、 Information 誌に発表された。 (2) 微分多項式を用いる有理型関数の値分布の一意性に関する研究 研究代表者は、北京林業大学の Xiao-Yu Zhang 講師との共同研究で、有理型複素関数に対して共有の値または小関数に関連する有理型関数の一意性の条件を考察した。いままで知られている結果を拡張して、もっと一般的な形の整関数と有理型関数及びその微分多項式が高次まで内部的に共有の小関数をもつ条件を構成した。これにより、有理型複素関数の値分布がより知られ、その振る舞いがより深く解明された。研究成果は論文としてまとめられ、Information 誌に発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者Zi-Cai Li 教授、Dr. Xiao-Yu Zhangらの研究協力を得て、特異性の解を持つ偏微分方程式の有限差分スキームの安定性問題の数値解析と2点境界値問題の高精度の数値解法の開発に研究成果を上げることができた。さらに、放物型偏微分方程式に対しては、ある滑らかさの条件のもとで有限差分解の離散微分評価が行われ、高精度を持つことが解明された。これら研究成果は国際学術誌に掲示された。したがって、最初の2年度の研究計画が達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
特異性の解を持つ放物型偏微分方程式の初期値―境界値問題に対して研究をさらに進めるために、もっと厳しい特異性の条件のもとで、高精度の数値解法を開発するとともにその数値解の誤差評価をもっと精密的に行う予定である。また、GPUコンピューティングのアルゴリズムを構成して、より実用的な数値解法を開発していきたい。さらに、放物型偏微分方程式の数値解の安定性問題をより解明することを目指す。
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