2015 Fiscal Year Research-status Report
分枝マルコフ過程及び確率方程式の数理医学への応用の新展開
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24540114
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
道工 勇 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60207686)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫能の飽和性 / 局所消滅性 / 生存性・共存性 / 分枝過程 / 測度値マルコフ過程 / 数理医学 / 環境依存型モデル / 腫瘍免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一の目的であるガン細胞に対する免疫応答の数理モデルの構築問題に関して、大きな進展が見られた。従来よりモデル論的に重要な以下の4点について理論的に明らかにすることを目指していた。すなわち、(1)免疫能の飽和性という限界値があること;(2)ガン細胞が免疫作用により駆逐される状況に対応する局所消滅性の表現;(3)生存性に関する結果;(4)共存性に関する結果;である。今年度の研究で提案した環境依存型モデルはこれらすべてを理論的に説明することに初めて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回提案し研究の対象とした環境依存型モデル(確率モデル)では従来より課題であった4つの点、(1)免疫能の飽和性という理論的限界値の存在の証明、(2)ガン細胞がエフェクター群の免疫作用により局所的に駆逐される状況に対応する消滅性のモデル論的に満足のいく完全な形での記述、(3)(4)ガン細胞と正常細胞の生存性および両者間の共存性の状況をモデル論的に記述すること、に初めて成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究の進め方のところでも記述したように、第一の目的「ガン細胞に対する免疫応答の数理モデルの構築と解析」、第二の目的「ガンの血管新生の確率モデルの構築と解析」のどちらか一方が行き詰まるか、あるいは一方が予定以上に進展の兆しが見えた場合、その一方に集中して満足のいく完全な成果の獲得を目指すという基本方針に基づき、今回は上述のように後者の理由により、さらに大きな進展が望める第一の目的に的を絞って研究を推進する。具体的には、今回の成果の一つである「モデルの確率系自体のもつマルコフ性の特性により正常状態かガン発症状態かに分かれる」という知見が得られたが、環境依存型モデルの決定要素の言葉で特徴付けがなされたわけではなく、その点が残念であった。この点の改良を試みることに集中しつつ、さらに消滅性の詳細な解析を同時に進める。
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Research Products
(9 results)