2012 Fiscal Year Research-status Report
微分方程式に対する精度保証付き計算の総合ライブラリの構築
Project/Area Number |
24540115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 野人 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (30210545)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精度保証 / 力学系 / 偏微分方程式 / 多倍長演算 |
Research Abstract |
(1)偏微分方程式の精度保証法に関して、佐世保高専・京都大学・早稲田大学の研究者らと共同研究を行った。特に線形作用素のノルム評価を利用する方法をベースとし、常微分方程式の周期解の精度保証法である樋脇・山本の方法を応用して、偏微分方程式の周期解の精度保証法の構成に着手した。 (2)力学系の精度保証法については、東北大学の研究者との共同研究を進め、特に不動点の吸引域の同定方法、および前述の樋脇・山本の方法に関しては学術雑誌に論文を投稿し、掲載された。また、リャプノフトレーシングと呼ぶ新しい解軌道の追跡方法を考案し、これに関する数値実験および理論的な考察を進めた。この方法は、不動点周りのリャプノフ関数を精度保証の手法を用いて構成する方法(前述の不動点の吸引域の同定法に関係する)にヒントを得て、さらにこれを簡略化するかたちで不動点から離れた軌道の近傍に等位面を持つリャプノフ関数を構成し、これを連続的につなげていくというものである。初期値として区間値を持つ力学系の軌道追跡の計算では、本手法を使う事でかなりの精度改善が見込まれる。 (3)さらに、サドル型不動点に関するホモクリニック軌道の精度保証による検証のために、区間演算と位相幾何学をつなげるための理論の構築に着手した。具体的には、区間単体定理と呼ぶ定理を導出し、これによって解集合の位相的な特徴を区間演算に基づく精度保証法によって捉える事が可能となった。 (4)多倍長精度保証ライブラリに関しては、基本的な部分の実装がほぼ終了した。特に、平方根の実装に関して新しい工夫を取り入れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
力学系の精度保証法については,論文2編を上梓し、また新しい理論的な発展も予想以上の速度で行われている。偏微分方程式の精度保証に関しては、共同研究者側の事情もあって、少し遅れがあるように感じる。多倍長精度保証ライブラリについては、おおむね目標に達している。これらを総合して、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書の研究実施計画にあるように、 (1)偏微分方程式の精度保証の共同研究をさらに進め、特に周期解の精度保証を目指す。 (2)偏微分方程式の精度保証用コンピュータプログラムの自動生成ソフトの開発に着手する。 (3)力学系の精度保証については、現状をさらに発展させ、進行波解の精度保証につながる結果を得たい。 (4)多倍長精度保証については、一般公開を目指してライブラリを整えて行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)