2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540116
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
今野 紀雄 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (80205575)
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Keywords | 量子ウォーク / 局在化 / 極限定理 / アダマールウォーク / グローヴァーウォーク |
Research Abstract |
研究目的の、特に量子ウォークに関して、以下のような結果を得ることができた。[1] 区間上の離散時間量子ウォークの振舞いについては、直交多項式の理論を援用して、その局在化、及び、ある種の一様測度への収束など、幾つかの興味深い結果は既に得られている。今回は、区間上の異なるシフト作用素を持つ離散時間量子ウォークについて、その挙動を調べた。[2] グルード木上の連続時間量子ウォークの研究に関しては既に数少なくない研究が知られている。例えば、古典系のランダムウォークに比べてその到達スピードが、ある意味で指数的に速くなることが知られている。一方、連続時間に対して離散時間の量子ウォークの研究は殆どされていないのが実情であった。そのような状況の下で、離散時間特有の量子ウォークの振舞いを調べるとともに、局在化に関する結果も得ることが可能となった。[3] 離散時間の量子ウォークに関する伊藤の公式、田中の公式については、知られていなかった。そこで、量子ウォークを時空間上のプロセスと考えることにより、それらを求め、Gudder達の先行する研究との関係を一部明らかにした。ランダムウォークの場合には、マルチンゲールの性質など良い性質が使えるが、それに対応する結果はまだ得られていない。今後の課題としたい。[4] 優先的選択のメカニズムを持つ複雑ネットワークに関連した量子ウォークの挙動を調べた。[5] 量子ウォークの弱収束極限定理をさらに拡張したような広い観点から眺めることにより、時空間上の諸性質について種々の結果を得た。[6] 量子グラフと量子ウォークとの幾つかの興味深い関係を見つけることに成功した。[7] スパイダーネットワーク上の量子ウォークの局在化など挙動について、量子確率論の理論も用い解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、研究目的の「確率モデル」「量子モデル」「複雑ネットワーク」の3つの関連するテーマに関して、興味深い結果を得ることができた。例えば、グルード木上の離散時間量子量子ウォークの局在化やスパイダーネットワーク上のグローヴァー量子ウォークの挙動の研究などは、古典系の「確率モデル」の性質を勘案した、「複雑ネットワーク」上の「量子モデル」の研究の重要な第一歩と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の2年間同様に、古典系の「確率モデル」、特にランダムウォークの構造を踏まえ、「複雑ネットワーク」上の「量子モデル」、特に量子ウォークの研究を深化させたい。具体的には、様々な「複雑ネットワーク」を射程距離内に入れ込むことができるようなグラフ上の解析手法を開発するとともに、種々の新しく興味深い結果を導き出したい。また、量子ウォーク自体も、空間的に一様なモデルだけでなく、数点量子コインを変えたり、さらには、2相系のようなより現実的なモデルについても解析を試みたい。
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Research Products
(8 results)