2013 Fiscal Year Research-status Report
逆凸制約を持つ大域的最適化問題に対する区分的分離超平面を用いた反復解法の開発
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24540118
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 修司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80331544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 環 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10207110)
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Keywords | 大域的最適化 / 逆凸計画 / 区分的分離超平面 / KKT点 / 分枝限定法 / 逐次近似解法 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は,逆凸制約を持つ高次な(変数の数が大きい)線形関数最小化問題に対して,精度の高い近似解を求める大域的最適化アルゴリズムの開発を目的としている。従来,逆凸制約を持つ数理計画問題に対しては凸多面体近似法や分枝限定法に基づく逐次近似アルゴリズムが提案されている。しかしながら,これらの手法は,反復回数に依存してアルゴリズムの実行に必要なデータ量が増加するという問題点を抱えているため,変数の数が大きい場合に有効でないことが知られている。このため,本研究は, 区分的分離超平面を利用して, 変数の数が50以上の問題に対しても大域的最小値と許容誤差内の目的関数値を持つ実行可能解を求める反復解法の開発を目指している。 本研究では,これまでに逆凸制約関数が正定値対称行列による2次形式で表された対象問題に対し,問題が100次元以上でも有効な近似解を求めることができるアルゴリズムの開発に成功した。新たなアルゴリズムを開発するために,本研究では対象問題の逆凸集合の境界上で凸制約関数の加重和を最小化する問題を考え,その問題のカルーシュ・キューン・タッカー条件(KKT条件)を満たす実行可能解を列挙する手法を考案した。さらに,この手法を分枝限定法に導入することで,対象問題の制約集合に対するすべての極大連結部分集合上で実行可能解を求めることが可能となった。その上,求められたすべての実行可能解から従来の非線形最適化手法を用いて局所探索を行うことで,対象問題に対する精度の高い近似解を求めることが実現された。今後はこれまでの研究成果を基に,より一般的な対象問題に対するアルゴリズムの構築を目指す。また,当初の計画通りに有効解集合上での凸関数最小化問題,分数計画問題やDEAにおけるクロス集計効率値計算法への応用を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,本研究の目的は50次元以上の逆凸制約を持つ線形関数最小化問題に対する精度の高い近似解を求める近似解法を構築することであった。これに対し,平成24年度は100次元以上の問題に対しても有効な反復解法の開発に成功した。さらに,平成25年度は分枝限定法を導入することで複数の凸制約関数をもつ問題に対しても有効な近似解を計算できるアルゴリズムの開発に成功しており,十分な研究成果を挙げていると考えられる。しかしながら,開発したアルゴリズムを実行するためには対象問題の制約関数が2次形式で表されていることが必要条件となっている。したがって,今後はこの必要条件を緩和し,より一般的な問題に対応できるアルゴリズムの構築を目指す。また,これまでの研究成果を基に,有効解集合上での最適化問題に対する新たなアルゴリズムの開発を行い,アルゴリズムの収束性に関する理論的収束性の確認は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したアルゴリズムは凸制約関数の数が高々30以下の場合に有効である。このため,より多くの制約関数をもつ問題に適応させるために,対角化行列の逐次近似法の導入を試みる。この研究に関しては,定期的に大阪大学の谷野哲三教授と新潟大学の田中環教授と打合せを行い,研究の進捗状況を確認し,研究方針を検討する。また,これまでの研究成果を基に,新たに開発した有効解集合上での最適化問題に対するアルゴリズムの有効性を確認するために,計算機実験を行い,その結果を海外の研究者と検証する。さらに,DEAにおけるクロス集計効率値計算法へ応用も試みる。
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Research Products
(10 results)